日本人には欠かせない大豆食品8種類を紹介!
大豆は、米、麦、粟、黍(きび)又は稗(ひえ)とともに五穀の一つとして、中国大陸では数千年も前から栽培されてきました。朝鮮半島を経由して日本に伝わるのは、弥生時代初期とみられています。
当時の食べ方は、煮豆や炒り豆が主だったようで、味噌や醤油の前身である穀醤(こくびしお)として利用され始めるのは奈良時代に入ってからです。また、国内で広く栽培されるようになるのは鎌倉時代以降です。
このように歴史ある大豆は、日本の食文化には欠かせないものです。
大豆食品を下記に紹介していますので、健康につながる知識として参考になれば幸いです。
記事参考=公益財団法人/日本豆類協会
目次
大豆食品8種類の健康効果と食べ方
大豆食品の持つ栄養は健康維持に欠かせない!
『大豆』『豆腐』『納豆』『油揚げ』『豆乳』『おから』『ゆば』『枝豆』8種類の大豆食品の特筆する栄養や効能とおすすめの「食べ合わせ食材」などを簡単に紹介しています。
【食材の食べ合わせとは?】 |
欧米では、食材の持つ栄養を最大限に高める食べ合わせの意味として「フードシナジー」という言葉があります。シナジーとは相乗効果のことですが、まさに食べ合わせとは、相乗効果で互いの食材の栄養を引き立て、効率よく摂取するということです。 |
大豆の栄養と食べ方
良質のタンパク質と不和脂肪酸が豊富!
大豆は「畑の肉」ともいわれるほど、良質なタンパク質が豊富です。また、配糖体の一種の「サポニン」、女性ホルモンに似た「イソフラボン」や「食物繊維」が多く含まれています。
動脈硬化を防ぐ不和脂肪酸や、記憶力を高める「レシチン」なども豊富で、更年期障害やガンの予防に効果があります。
【大豆のカロリー】
- 1カップ150g=626Kcal
100g=417Kcal
【大豆-注目の機能性成分】
- サポニン
大豆のえぐみ成分です。コレステロール値や中性脂肪値を下げ、弱った肝細胞を修復します。また、血行促進や整腸作用などの効果もあります。 - イソフラボン
女性ホルモンに近い働きをします。更年期障害や骨粗しょう症の予防、改善に役立つほか、肌の保湿や美白にも効果があります。 - レシチン
アセチルコリンという神経伝達のもとになる成分です。脳の働きを活発にし、記憶力を高める効果があるほか、血中コレステロール値を下げる作用もあります。
大豆の食べ方
ゴーヤと合わせて美肌づくり!
大豆に豊富で、強い抗酸化作用のあるイソフラボンは、肌の代謝を促して美肌をつくります。同じく肌を健康に保つビタミンCが豊富なゴーヤと合わせれば、艶々の肌が期待できます。
【大豆の選び方】
旬=9月~10月。表面がつややかで、ふっくらして粒がそろっているもの。豆の形が整っているものが良です。
【大豆の保存方法】
乾燥大豆は風通しがよく、湿度の低い冷暗所で保存してください。茹で大豆はビニール袋に入れ、冷凍庫へ入れてください。
豆腐の栄養と食べ方
カルシウムたっぷりの低エネルギー食品!
豆腐は大豆が原料の食品。「必須アミノ酸」のほか「グルタミン酸」や「チロシン」、ビタミン、カルシウムなどが豊富で、大豆よりも消化吸収に優れています。また、血中脂質のバランスを整える「サポニン」も多く含まれています。
コレステロール値などが気になる場合は、肉の代わりに豆腐を使えば消化もよく、タンパク質も摂れます。
【豆腐のカロリー】
- 木綿豆腐のカロリー
1丁300ℊ=216Kcal
100g=72Kcal - 絹ごし豆腐のカロリー
1丁300g=168Kcal
100ℊ=56Kcal
【豆腐-注目の機能性成分】
- 必須アミノ酸
人体のタンパク質を構成するアミノ酸は、約20種類あり、体内でつくられないものは『必須アミノ酸』と呼ばれ、食事から摂る必要があります。 - グルタミン酸
腸管のエネルギー源として重要で、脳では神経伝達物質として使われています。食品のうま味成分としても知られています。 - チロシン
ドーパミンやアドレナリンなどの神経伝達物質や、ホルモンの材料になります。記憶力を高め、脳の回転をよくします。 - サポニン
大豆のえぐみ成分です。コレステロール値や中性脂肪値を下げ、弱った肝細胞を修復します。また、血行促進や整腸作用などの効果もあります。
豆腐の食べ方
「なめこ」と合わせて脳を健康に!
豆腐に豊富なグルタミン酸やチロシンは、脳の働きをよくするアミノ酸の一種です。なめこのネバネバ成分であるムチンがアミノ酸の吸収を高めるので、脳を健康にする効果が期待できます。
【木綿豆腐と絹ごし豆腐の違い】
木綿豆腐は豆乳から上澄みを除いて、重しの力で形づくったものです。絹ごし豆腐は豆乳全体を固めたものです。木綿豆腐のほうが、タンパク質やカルシウムが豊富です。
【豆腐の保存方法】
豆腐は水を張った容器に入れて蓋をし、冷蔵庫で保存します。毎日水を替えれば、4日~5日ほどもちます。
納豆の栄養と食べ方
納豆菌が腸内環境を整える!
大豆を発酵させてつくる納豆には、納豆菌「ナットウキナーゼ」が含まれています。ナットウキナーゼは納豆が大豆を分解してつくったもので、この働きにより、「ビタミンB2」のは大豆の6倍にもなります。また、良質なタンパク質や不和脂肪酸、食物繊維も多く、便秘予防・美肌づくりに有効です。
納豆は発酵することで、大豆にない有効成分が多く含まれます。特に、血液中の血栓をできにくくする血栓溶解作用は食材の中でもトップクラスです。よく混ぜることで納豆菌が活性化し、血栓溶解作用などを高めます。
【納豆のカロリー】
- 約1食分50ℊ=100Kcal
100g=200Kcal
【納豆-注目の機能性成分】
- ナットウキナーゼ
納豆のネバネバ部分に含まれる、タンパク質分解酵素です。血管内の血栓を溶けやすくして、血液をサラサラにしてくれます。血圧を下げる効果も期待できます。 - ビタミンB2
脂質とタンパク質の分解に働きます。細胞の再生を助けて成長を促し、健康な髪や肌をつくり、口や目などの粘膜を保護します。ニキビや口内炎はビタミンB2不足のサインですから、症状のある人は意識して摂るとよいでしょう。
納豆の食べ方
「オクラ」と合わせて疲労回復!
オクラをサッと茹でて刻み、納豆に混ぜると、ヌメリ成分のムチンの働きにより納豆の大豆タンパクの吸収率がよくなります。疲労回復に、スタミナ増強に効果があります。
【納豆の選び方】
納豆は腹持ちがよく、肥満の予防・改善に役立ちますが、子供や高齢者には、消化吸収がよい「ひき割り納豆」がおすすめです。
【納豆の保存方法】
冷凍する場合、パックのまま冷凍庫へ入れれば2~3カ月はもちます。ただし、保存してあることを忘れてしまいがちなので、早めに食べたほうがよいでしょう。
油揚げの栄養と食べ方
大豆の力でコレステロール値を下げる!
大豆タンパク質はコレステロール値を下げるのに効果的ですが、油揚げにも同じ効果があります。また、大豆と同様に豊富な「レシチン」や「リノール酸」が、血管壁に付いたコレステロールを取り除き、血管を正常に戻します。調理に使うときは、熱湯をかけて油抜きすると、脂質を抑えられます。
【油揚げのカロリー】
- 1枚20g=77Kcal
100g=386Kcal
【油揚げ-注目の機能性成分】
- レシチン
アセチルコリンという神経伝達のもとになる成分です。脳の働きを活発にし、記憶力を高める効果があるほか、血中コレステロール値を下げる作用もあります。 - リノール酸
血中コレステロール値や血圧を下げる働きがありますが、摂取し過ぎると善玉といわれるHDLコレステロールが低下したり、動脈硬化を促進させるともいわれ注意が必要です。
油揚げの食べ方
水菜と合わせて免疫力アップ!
水菜に含まれるβカロテンやクロロフィルは、どちらも脂溶性ですが、脂質を含む油揚げと合わせることで吸収率が高まり、水菜本来の抗酸化力をより発揮して免疫力がアップします。
【油揚げの選び方】
乾きすぎていないもの。大きさや厚みは、好みで選んでください。
【油揚げの保存方法】
乾燥を避けて、ビニール袋などに入れてから冷蔵庫で保存してください。冷凍する場合、油抜きしてから保存しますが、冷凍する前に刻んでおくと調理する時に使いやすいです。
豆乳の栄養と食べ方
美肌効果のあるイソフラボンが豊富!
大豆に水分を加えてすり潰し、煮て こした ものが豆乳です。大豆と比べて消化がよいのが特徴です。大豆と同じく、「サポニン」や「イソフラボン」が豊富で、コレステロール値を下げたり、美肌効果や若返り効果も期待できます。良質な大豆タンパク質も含まれているので、肥満予防にもなります。
【豆乳のカロリー】
- 1カップ200ml=92Kcal
100ml=46Kcal
【豆乳-注目の機能性成分】
- サポニン
大豆のえぐみ成分です。コレステロール値や中性脂肪値を下げ、弱った肝細胞を修復します。また、血行促進や整腸作用などの効果もあります。 - イソフラボン
女性ホルモンに近い働きをします。更年期障害や骨粗しょう症の予防、改善に役立つほか、肌の保湿や美白にも効果があります。
豆乳の飲み方
バナナと合わせて便秘解消!
豆乳には、大豆の食物繊維が豊富に含まれています。バナナの整腸効果と合わせれば、便秘解消に効果大です。ミキサーに入れてシェイクすると、バナナの甘さで飲みやすくなります。
【豆乳の選び方】
調整豆乳と無調整豆乳があります。無調整豆乳のほうが栄養価は高めですが、飲みにくいという人もいます。その場合、砂糖を入れると飲みやすくなります。
【豆乳の保存方法】
開封後は冷蔵庫で保存しますが、2日ほどを目安に飲み切るようにしてください。冷凍は変質するので、不可です。
おからの栄養と食べ方
豊富な食物繊維が便秘・大腸ガンを予防!
おからは、豆腐の搾りかすですが、たくさんの栄養が詰まっており、特に食物繊維が豊富です。「不溶性食物繊維」なので、腸のぜんどう運動を促し、便秘予防に役立ちます。また、腸をきれいにしてくれるのでガン予防の効果もあります。そのほか、記憶力アップに効果がある「レシチン」も豊富です。
【おからのカロリー】
- 1カップ70g=78Kcal
100g=111Kcal
【おから-注目の機能性成分】
- 不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は便のカサを増やし、大腸のぜんどうを運動を活発にして排便を促すので、便秘予防に効果があります。また、腸内環境を整え、腸内の有害物質を体外に排泄する働きもあります。 - レシチン
アセチルコリンという神経伝達のもとになる成分です。脳の働きを活発にし、記憶力を高める効果があるほか、血中コレステロール値を下げる作用もあります。
おからの食べ方
茄子と合わせてコレステロール対策!
茄子に多く含まれるポリフェノールのナスニンは、コレステロールの吸収を抑える働きがあります。同じく、コレステロールの吸収を抑えるおからのイソフラボンと合わせれば、ダブル効果が期待できます。
【おからの選び方】
「生おから」と「乾燥おから」があります。できれば、「生おから」のツヤがある、しっかりとしたものがおすすめです。
【おからの保存方法】
できるだけ買ってきたその日に使いきるのが基本ですが、冷蔵保存する場合、ビニール袋に入れて2日~3日。平たく広げて冷凍すれば、1カ月ほどもちます。
ゆばの栄養と食べ方
チロシンが頭の回転をよくする!
集中力を高める「グルタミン酸」・頭の回転をよくする「チロシン」・神経伝達物質の原料となる「メチオニン」などを豊富に含んでいます。また、カルシウムやカリウムなどの「ミネラル」や「ビタミンB1」・「ビタミンB2」・「ビタミンE」も豊富なうえ、消化吸収がよいのが特徴です。
【ゆばのカロリー】
- 100g=231Kcal
【ゆば-注目の機能性成分】
- グルタミン酸
腸管のエネルギー源として重要で、脳では神経伝達物質として使われています。食品のうま味成分としても知られています。 - チロシン
ドーパミンやアドレナリンなどの神経伝達物質や、ホルモンの材料になります。記憶力を高め、脳の回転をよくします。 - メチオニン
血液中のヒスタミン(かゆみや痛みを起こす物質)の濃度を下げる作用があります。また、肝臓の解毒作用を高め、肝臓を強くするほか、抑うつ効果もあります。
ゆばの食べ方
「かぼちゃ」と合わせて脳を健康に!
ゆばのうま味成分グルタミン酸は、集中力を高める作用があります。かぼちゃのβカロテンを合わせると、βカロテンの抗酸化作用で脳細胞が守られ、脳の働きがアップします。
【ゆばの選び方】
ツヤがあるものがよいです。縮んで破れたり、黒ずんだものは避けた方がよいでしょう。
【ゆばの保存方法】
破れやすいため、タッパーなどの密閉容器に入れ、冷蔵庫に入れてください。冷凍すれば、2~3カ月の長期保存も可能ですが、できるだけ早めに食べ切るようにしてください。
枝豆の栄養と食べ方
枝豆は、野菜と豆の栄養を併せ持つ!
枝豆は栄養価の高い大豆の未熟果なので、良質なタンパク質が多く含まれています。また、貧血の改善や成長促進に不可欠な「葉酸」が豊富なほか、ビタミン・ミネラルも含まれており枝豆は、野菜と豆の栄養を併せ持つ優等生食品です。
枝豆のもつ栄養バランスは、乾燥豆の大豆と似ていて、「サポニン」「レシチン」「イソフラボン」などが含まれています。中でもイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをもち、骨粗しょう症の予防や更年期障害の「のぼせ」などにも有効といわれています。
【枝豆(生)のカロリー】
- 10さや30g=41Kcal
100g=135Kcal
【枝豆-注目の機能性成分】
- 葉 酸
貧血を防いだり、体の発育をスムーズにします。特に妊娠中や授乳中の女性は、葉酸の摂取がすすめられます。しっかり補うことで、赤ちゃんの発達異常を防ぐといわれています。 - サポニン
大豆のえぐみ成分です。コレステロール値や中性脂肪値を下げ、弱った肝細胞を修復します。また、血行促進や整腸作用などの効果もあります。 - イソフラボン
女性ホルモンに近い働きをします。更年期障害や骨粗しょう症の予防、改善に役立つほか、肌の保湿や美白にも効果があります。 - レシチン
アセチルコリンという神経伝達のもとになる成分です。脳の働きを活発にし、記憶力を高める効果があるほか、血中コレステロール値を下げる作用もあります。
枝豆の食べ方
茹ですぎは禁物!
枝豆は、長く茹でたり、水に漬けっぱなしにすると水溶性のビタミンB群やビタミンC、葉酸が流れ出てしまいます。茹でるときは、手早く茹でて水にさらさず、ザルに広げて冷ましてください。少し硬めに茹で上げることで、冷めるまでの間に余熱で程よく火が通り、よい食感に仕上がります。
【枝豆の選び方】
枝豆の旬は7月~9月です。枝豆は枝から切り離すと鮮度が急速に落ちるので、枝つきを選びます。さやの緑色が濃く、ふっくらとして丸みがあり、うぶ毛がしっかりついているものは良品です。
【枝豆の保存方法】
枝豆は、とにかく新鮮なうちに茹でる事が大切。すぐに茹でられないなら、乾燥しないように新聞紙にくるむか袋に入れ、冷蔵庫に入れておきます。
長く保存する場合は茹でたものを冷凍します。その場合は少し固めに茹でるのがポイント。食べる時は凍ったままもう一度沸騰している湯の中に投入し、中の豆が十分に暑くなるくらいでさっと茹でてからザルにあげ、塩を振って食べます。
大豆食品8選/注目される栄養と効能
-食材の雑学予備知識-のまとめ
健康的に生きるためには、「血液循環をよくする」「免疫力を高める」「代謝を高める」などの課題がありますが、これらは食材単体で栄養を摂ればいいというものではありません。
食材の持つ栄養の働きを助け合う、複数の食材を摂ってこそ効果が上がります。大豆食品を基本にいろいろな献立を考えてみてはいかがでしょう。
大豆といえば、節分の鬼退治に投げる大豆をイメージしますが、体内にいる邪悪な鬼(病気)も大豆は退治してくれるようですね。
控えめで、料理としての華々しさを感じさせない大豆食品ですが、健康維持に最も頼りになるのは大豆食品のような気がします。
各食品のカロリー表示は、文部科学省食品成分データベースを参考にしてます。
参考=発行所:高橋書店/あたらしい栄養学
参考=発行所:株式会社 学研プラス/知っておきたい栄養学