とうもろこしはカロリー高めでも、ビタミン類や食物繊維が豊富!
とうもろこしは「米」「麦」に並ぶ穀物です。
主食として食べられるほど、炭水化物やタンパク質、脂質が多く、カロリーは高めですが、食物繊維をはじめ、ビタミンB1やビタミンB2が比較的多く、エネルギーの代謝、疲労回復に役立ち、脂質の代謝を促進する働きがあります。また、機能性が期待されているアスパラギン酸、グルタミン酸、コレステロール値を下げる働きのあるリノール酸などが含まれています。
とうもろこしは、※食品成分からすると、穀類と野菜に分類されます。
穀類に分類されているものは、とうもろこしの玄穀(げんこく)といわれる完熟種子のものです。主成分がタンパク質、脂質、炭水化物で、これらは「米」なみに含まれています。
一方、野菜に分類されるものは、日本で一般に食しているとうもろこしで、食品名としてはスイートコーン(未熟種子)になります。(スイートコーンに含まれるタンパク質、脂質、炭水化物は、玄穀の1/3程度です。)
※食品成分=日本食品標準成分表2015年版(七訂)
以下の内容は日本で一般的に食している、とうもろこし(スイートコーン)について記しています。本来はスイートコーンとしなければならないところを、とうもろこしと記している部分があること ご了承ください。
目次
とうもろこし/スイートコーンの栄養と食べ方
とうもろこしの栄養は、胚芽部分に集中して含まれています。
胚芽は粒の根元に近い中央部付近にあるので、とうもろこしの粒の上部だけに かぶりつくような食べ方や種子の上部だけを包丁で切り取って食べたりすると、貴重な栄養素がとれない場合があります。
とうもろこしを食べるときは、手で種子の部分を根元から こそぎ取るようにして食べることをおすすめします。
胚芽は、とうもろこし粒重量の10~13%程度を占めます。胚芽には脂質の大部分が存在しコーン油の原料となります。
資料参考=日本スターチ・糖化工業会
【コーン油について】
コーン油はトウモロコシの胚芽を原料とした食用油で、リノール酸やオレイン酸を豊富に含んでいます。家庭用のサラダ油として利用されるほか、マーガリンやスナック菓子の製造にも使われています。
【とうもろこしの選び方・保存】
とうもろこしが皮付きの場合、皮は緑が濃く、先端のヒゲは褐色あるいは黒褐色のものが完熟しています。また、ヒゲは1本1本粒とつながっているので、ヒゲが多いものほど粒が多いものになります。
とうもろこしは、収穫後急速に甘みが落ちるので、手に入れたら その日のうちに食べることをおすすめします。
短時間とりあえず保存する場合は、皮付きのままラップで包み野菜室へ。
すぐに食べない場合は、茹でてからラップで包み冷蔵庫に入れれば2日~3日は保存可能です。
とうもろこし注目の栄養素
≪不溶性食物繊維で便秘改善≫
とうもろこしのプチプチとした食感は、食物繊維が豊富に含まれている証拠でもあります。とうもろこしに含まれている食物繊維の多くが不溶性で、含有量は玄米のほぼ2倍になります。水分を含んだ繊維が腸を刺激して、ぜんどう運動を活発にし、便通をスムーズにしてくれます。
≪ファイトケミカルの効果で目の老化を防ぐ≫
とうもろこしのファイトケミカル(ゼアキチサンチン)は、目のアンチエイジングに効果的です。黄色のカロテノイドのゼアキサンチンは、人間の網膜に特異的に存在し、光による組織の酸化を抑制。
抗酸化作用で活性酸素を消去し、老化による視力低下や加齢性網膜黄斑変性症などを予防する働きがあるといわれています。
とうもろこしの栄養を生かした食べ方
【タンパク質の栄養価を高める食材は肉や卵】
タンパク質の栄養価を高めるには、とうもろこしに少ない必須アミノ酸のリジンを補うとよいといわれています。リジンを多く含む卵や肉、乳製品と組み合わせてスープ料理にするのがおすすめです。
【ビタミンEを含む食材と組み合わせれば栄養価はさらにアップ!】
糖質、タンパク質、脂質など、とうもろこしは穀類ならではの栄養素が豊富なので、さらに、ゴマ、カボチャ、アーモンドなどビタミンEを多く含む食材を組み合わせたら、エネルギー補給に理想的な料理になります。
【電子レンジ加熱で、うまみと栄養をムダなく摂取】
とうもろこしは茹でると水溶性ビタミンが流出します。電子レンジで加熱して蒸しとうもろこしにすれば、栄養がキープできるうえ、うまみも守られて甘みがアップします。
ヒゲを取り除いて内側の皮を残したまま、ラップで包んで加熱するのがコツです。
【栄養に関する資料参考書籍】
株式会社宝島社:体に効く!野菜の新図鑑
株式会社マガジンハウス:体に効く 野菜の大百科
スイートコーンの栄養素・成分値
(可食部100gあたり)
スイートコーン
|
生 | ※1ゆで | 電子レンジ調理 | |
エネルギー(kcal) | 92 | 99 | 107 |
水分(ℊ) | 77.1 | 75.4 | 73.5 |
たんぱく質(g) | 3.6 | 3.5 | 4.2 |
脂質(g) | 1.7 | 1.7 | 2.2 |
炭水化物(g) | 16.8 | 18.6 | 19.1 |
水溶性食物繊維(g) | 0.3 | 0.3 | 0.3 |
不溶性食物繊維(g) | 2.7 | 2.8 | 3.1 |
スイートコーン
|
生 | ※1ゆで | 電子レンジ調理 | |
ナトリウム(㎎) | ※2Tr(微量) | ※2Tr(微量) | 0 |
カリウム(㎎) | 290 | 290 | 330 |
カルシウム(㎎) | 3 | 5 | 3 |
マグネシウム(㎎) | 37 | 38 | 42 |
リン(㎎) | 100 | 100 | 120 |
鉄(㎎) | 0.8 | 0.8 | 0.9 |
亜鉛(㎎) | 1.0 | 1.0 | 1.1 |
銅(㎎) | 0.10 | 0.10 | 0.10 |
マンガン(㎎) | 0.32 | 0.31 | 0.32 |
ヨウ素(㎍) | 0 | ―(未測定) | ―(未測定) |
セレン(㎍) | ※2Tr(微量) | ―(未測定) | ―(未測定) |
クロム(㎍) | 1 | ―(未測定) | ―(未測定) |
モリブデン(㎍) | 6 | ―(未測定) | ―(未測定) |
スイートコーン
|
生 | ※1ゆで | 電子レンジ調理 | |
ビタミンA(㎍) (β-カロテン当量) |
53 | 49 | 59 |
ビタミンD(㎍) | ※3推定値0 | ※3推定値0 | ※3推定値0 |
ビタミンE(㎎) (α-トコフェロール) |
0.3 | 0.3 | 0.3 |
ビタミンK(㎍) | 1 | 0 | 0 |
ビタミンB1(㎎) | 0.15 | 0.12 | 0.16 |
ビタミンB2(㎎) | 0.10 | 0.10 | 0.11 |
ナイアシン(㎎) | 2.3 | 2.2 | 2.4 |
ビタミンB6(㎎) | 0.14 | 0.12 | 0.14 |
ビタミンB12(㎍) | ※3推定値0 | ※3推定値0 | ※3推定値0 |
葉酸(㎍) | 95 | 86 | 97 |
パントテン酸(㎎) | 0.58 | 0.51 | 0.67 |
ビオチン(㎍) | 5.4 | ―(未測定) | ―(未測定) |
ビタミンC(㎎) | 8 | 6 | 6 |
成分、数値は日本食品標準成分表2015年版(七訂)による。
※1=「ゆで」は、調理の下処理として行い、ゆで汁は廃棄します。ざるにとって水を切る、または水にさらして絞る等の処理も含まれています。
※2=食品成分表の最小記載量の1/10以上含まれているが、5/10未満であるもの。
※3=食品成分表の最小記載量の1/10未満、(ヨウ素、セレン、クロムおよびモリブデンは 3/10、ビオチンは4/10)または検出されなかったことを示す。
(文献等により含まれていないと推定される成分については測定していない場合が多い。しかし、何らかの数値を示して欲しいとの要望も強いことから、推定値として「0」と表示。)
とうもろこしは野菜のように栄養豊富!のまとめ
よく食しているとうもろこし(スイートコーン)が野菜類に属するなんて、なんだか野菜の中でも浮いた感じがしますが、御飯やパンに比べるとカロリーが低く、ビタミン類が そこそこ含まれているので、野菜のようにヘルシーな食材ともいえます。ただし、食べるときは、粒を根こそぎ食べないと、せっかくの栄養が摂取できないようです。
特にとうもろこしを丸かじりするときは、歯に詰まることを恐れず、粒の根っこに歯を立ててガシガシ頂きましょう。
※紹介している「とうもろこし」に関する健康効果等については、多くの情報の中から、「なるほど!・効果がありそう!」と思われたものを参考にしています。当然ながら個人的な見解もあり、体に与える影響については、個人差があること ご了承ください。