キャベツの調理はビタミンの損失に気をつけて!
キャベツの栄養やカロリーについて、また調理のチョットしたヒントを知ることで、キャベツの持つビタミン類を効果的に摂取して、より一層おいしく頂くことができます。
一読いただき、ご家庭の料理の参考になれば幸いです。
【キャベツの主な効果】
- 骨粗しょう症予防
- 便秘解消
- 胃潰瘍予防
- 十二指腸潰瘍予防
※紹介している「キャベツ」に関する健康効果等については、多くの情報の中から、「なるほど!・効果がありそう!」と思われたものを参考にしています。当然ながら個人的な見解もあり、体に与える影響については、個人差があること ご了承ください。
キャベツの栄養効果と食べ方
画像出典=美味しい菜園生活
キャベツの特徴は豊富なビタミンCです。葉を生で2~3枚食べることで、1日に必要なビタミンC量の50%以上が満たされるといわれています。
特にキャベツの外側の緑色の葉や、普段捨ててしまいがちな芯の近くには、ビタミンCが多く含まれています。また、キャベツ特有の成分として、ビタミンUが挙げられます。ビタミンUは、キャベツから発見されたため別名“キャベジン”とも呼ばれている成分です。
【ビタミンU(キャベジン)の効果】
ビタミンU(キャベジン)は、市販されている胃腸薬にも含まれていることでよく知られているように、胃酸の分泌を抑え、胃腸の粘膜を健康に保つ働きがあります。そのため、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防・改善することが期待されています。
※胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは、自らの胃液によって胃腸の粘膜を溶かし、傷つけてしまう病気です。はじめは胃や十二指腸の粘膜がただれてしまう程度ですが、進行すると胃や腸に穴があいてしまうこともあります。
ビタミンU(キャベジン)の働き |
ビタミンUは、胃腸の粘膜を修復するためにタンパク質の合成を活発にし、傷ついた粘膜を治す働きなどがあります。そのため、胃腸粘膜の新陳代謝を活発にすることが期待されています。さらに、胃酸の分泌を抑える作用があるため、胃腸粘膜の負担を軽減することができ、胃潰瘍や十二指 腸潰瘍の予防・改善へとつながると考えられています。 |
キャベツの旬と保存方法
一年中店頭に並ぶキャベツですが、出まわる時季によって質や味が変わります。
「春キャベツ」「冬キャベツ」、その間には「夏秋キャベツ」もあり、それぞれに違った味わいや食感を楽しめます。
春キャベツの旬
春キャベツは、千葉県、神奈川県、茨城県で主に生産されており、旬は3~5月です。
秋から冬に種子をまき、初春から初夏に収穫されます。“春玉”と呼ばれているキャベツはこの品種です。外側の葉は巻きがゆるく、内側まで緑色をしていま す。中心の葉は詰まっているものが新鮮であるとされています。葉がやわらかく甘みがあることが特徴で、生食に向いています。 |
夏秋キャベツの旬
夏秋キャベツは、群馬県、北海道、長野県で主に生産されており、旬は6~11月です。
春から初夏に種子をまき、夏から秋に収穫されます。“高原キャベツ”とも呼ばれています。 |
冬キャベツの旬
冬キャベツは、愛知県、千葉県、神奈川県で主に生産されており、旬は11~3月です。
夏に種子をまき冬に収穫されます。一般的に出回っている“寒玉”と呼ばれるキャベツはこの品種に入ります。外側の葉が濃い緑色で、葉がしっかりと詰まって いるもの、また、厚みがあり重量感のあるものが良品です。熱を加えると甘みが増し、煮崩れしにくいのでロールキャベツやポトフなどに向いています。 |
キャベツの保存方法
キャベツは、涼しい気候を好むので、冬場をのぞいては冷蔵庫で保存してください。
できれば、芯をくり抜き、水を含ませたキッチンペーパーを詰めたあとにビニール袋などに入れて冷蔵庫に入れると万全です。
※丸ごと使わないときは、カットするのではなく、外の葉からはがして使うと長持ちします。
キャベツの栄養を生かす食べ方
ビタミン摂取は生食が効果的!
キャベツに含まれる、ビタミンCやビタミンUは、水に溶けやすく熱にも弱いので、効率よく摂取するには生で食べるのがおすすめです。しかし、切っただけではカサがあってたくさん食べられません。
キャベツの栄養を効果的に美味しく取るためには、千切りにして味付けしたりコールスローや生ジュースなどにするとよいでしょう。
スープや煮物にする場合、栄養成分の溶け出た汁を一緒に摂るのがおすすめです。
注目の栄養素イソチオシアネートを効果的に摂取
キャベツに含まれる「イソチオシアネート」という成分には、抗がん作用があり、米国立がん研究所のデザイナーフーズ計画で、がん予防の可能性が高い野菜として挙げられています。
このイソチオシアネートを効果的に摂取するには「切る・する・つぶす・噛み砕く」など野菜の繊維を断ち切ること。また、熱を加えると酵素の活性が低減するので生のままで食べるのが理想とされています。
【イソチオシアネートについて参考資料】
- 参考サイト=あ!なるほど豆知識 キャベツ|熊本県青果物消費拡大協議会
- 参考書籍=Dr.クロワッサン体に効くやさいの大百科
(株士会社マガジンハウス/2017年5月25日発行)
参考動画=キャベツの千切り
参考動画=コールスローのレシピ
煮込むならロールキャベツ
スープなら、水に溶け出たビタミン類を、まるごと食べられますので、ロールキャベツがおすすめです。煮込み料理やスープにキャベツを入れて汁ごと残さずに食べることで、汁に溶け出した栄養素まで無駄なく摂取することができます。
参考動画=ロールキャベツのレシピ
キャベツの栄養成分(可食部100gあたり)
キャベツの総カロリー=23Kcal(100ℊあたり)
【キャベツに含まれる三大栄養素】
キャベツに含まれるタンパク質=1.3g(100gあたり)
タンパク質は、筋肉や内臓、皮膚など、体の組織のほぼ全てをつくる主要な成分であり、また、エネルギー源としても、1gあたり約4Kcalを生み出します。酸素・ホルモン・免疫抗体の材料、栄養運搬物質などとしての役割を担う重要な栄養素です。
キャベツに含まれる脂質=0.2g(100gあたり)
脂質は、1gあたり9Kcalと、三大栄養素の中で最も高いエネルギーを生み出す栄養素です。細胞膜や神経の構成成分で、脂溶性(しようせい)ビタミンの吸収を助ける働きや皮膚、粘膜の健康を保つ働きなどもしています。ただし、摂り過ぎると脂肪として蓄えられるので、注意が必要です。
キャベツに含まれる炭水化物=5.2g(100gあたり)
炭水化物は、体や脳を動かし、生命を維持するエネルギー源として利用される栄養素で、1gあたり約4Kcalを生み出します。糖質と食物繊維を合わせて、炭水化物といいます。
キャベツに含まれる主なミネラル
カリウム=200㎎(100gあたり)
カリウムは、細胞内液に多く、細胞外液に多いナトリウム(主に塩分)と互いに作用しながら細胞の機能を正常に保っています。また、ナトリウムの排出を促し、血圧を下げる作用があるので、高血圧予防に効果的です
【カリウム摂取のコツ】
カリウムは、茹でたり煮たりすると流れ出てしまうので、フルーツのように生で食べられる食品のほうが効率よく摂取できます。
カルシウム=43㎎(100gあたり)
カルシウムは、体内のミネラルの中で、もっとも多く含まれており、その内99%が骨や歯に存在しています。残りの1%は血液や体液中に含まれています。血液中のカルシウム濃度は一定量に保たれていますが、濃度が下がると骨から溶けだします。
【カルシウム摂取のコツ】
ビタミンDは、カルシウムが骨に吸収されるのを促す働きがあるため、いっしょに摂取すると効果があります。
マグネシウム=14㎎(100gあたり)
マグネシウムは、体内ではカルシウムと共に約60%が骨に存在していて、残りは筋肉や血液などに含まれており、「カルシウムが骨を形成するのを助ける」「筋肉の収縮を調整」「血圧の上昇を抑える」など、様々な働きをしています。
【マグネシウム摂取のコツ】
玄米や胚芽精米のごはんで、多く摂取することができます。
鉄=0.3㎎(100gあたり)
体内にある鉄のうち、約70%は血液中に存在し、赤血球のヘモグロビンを構成しています。(ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ働きがあります)残りの約30%の鉄は、肝臓・骨髄などに貯蔵されていて、血液中の鉄が不足したときに血液中に出て補給される仕組みになっています。
【鉄 摂取のコツ】
ビタミンCは、鉄の吸収を促すので、いっしょに食べると吸収がよくなります。また、タンパク質も鉄の吸収をよくする成分なので、合わせて食べるとよいです。
銅=0.02㎎(100gあたり)
体内の銅の約半分は、骨や筋肉、血液中にあります。残りは肝臓などに存在しています。銅は、鉄がヘモグロビンを合成する際に必要なので、不足するとヘモグロビンが作れず、貧血を起こしてしまいます。また、多くの酵素の構成成分でもあります。
【銅 摂取のコツ】
鉄が足りていても、銅が不足していると、ヘモグロビンがうまく合成できません。どちらもしっかりと摂取することが大切です。
キャベツに含まれる主なビタミン
ビタミンA(β-カロテン当量)=50㎍(100gあたり)
β-カロテンは、色鮮やかな緑黄色野菜などに多く含まれる※カロテノイドの一種で、強力な抗酸化力を持つ栄養素です。体内では必要量に応じてビタミンAに変換され、ビタミンAとしても効果を発揮します。人体の粘膜や皮膚、免疫機能を正常に保ったり、視力を維持するために必要不可欠な成分です。
※カロテノイドは、動植物が持つ、自然界に存在する黄色や赤色の色素の総称で、600種類以上存在するといわれています。特徴として強力な抗酸化力を持ち、活性酸素を除去する力に優れています。また、眼病や生活習慣病などをはじめとする疾病の予防に効果的な栄養素として知られています。
【β-カロテン摂取のコツ】
植物性食品に含まれるカロテン類は、油に溶けることで吸収率がアップします。油で炒めたりドレッシングをかけたりするとよいです。
ビタミンE(α-トコフェロール)=0.1㎎(100gあたり)
ビタミンEは、脂溶性ビタミンの一種で、強い抗酸化作用があり、細胞膜の酸化を抑制し、細胞の老化を防ぎます。毛細血管に働きかけて血行をよくしたり、新陳代謝を促したりする働きもあります。
【ビタミンE摂取のコツ】
ビタミンA・Cを含む食品といっしょに摂取すると、抗酸化作用がさらにアップします。
ビタミンB1=0.04㎎(100gあたり)
ビタミンB1は、炭水化物がエネルギーに変わるときに必要な水溶性ビタミンです。不足すると代謝がうまくいかず、乳酸などの疲労物質が蓄積されて、疲労や筋肉痛の原因になります。脳の神経や手足の末梢神経の働きにもかかわってきます。
【ビタミンB1摂取のコツ】
ビタミンB1は、「ニンニク」「ネギ」「タマネギ」「ごぼう」と、いっしょに摂取すると吸収がよくなります。
葉酸=78㎍(100gあたり)
葉酸は、ビタミンB群の一種で、赤血球の生成を助け造血を促すビタミンです。胎児の細胞を作り出す際にも必要なため、妊娠の前後は多くの葉酸が必要です。
【葉酸 摂取のコツ】
葉酸は光や熱に弱いので、放っておくと酸化してしまいます。新鮮なうちに食べることが一番です。
ビタミンC=41㎎(100gあたり)
ビタミンC は、コラーゲンというタンパク質を合成する際に関わる、水溶性ビタミンです。コラーゲンは皮膚や骨を強化する働きがあります。また、強い抗酸化作用があり、活性酸素の働きを抑えたり、生活習慣病の予防に役立つ働きをしたりします。
【ビタミンC 摂取のコツ】
ビタミンCは、水につけたり茹でたりすると、どんどん失われてしまいます。洗ったり茹でたりは短めにします。ビタミンCは体内に蓄積されないので、毎日補給したい栄養素です。
キャベツの食物繊維
キャベツに含まれる食物繊維=1.8g(100gあたり)
水溶性食物繊維:0.4g |
不溶性食物繊維:1.4g |
食物繊維は、腸内環境をよくし、生活習慣病を予防します。不足すると便秘になりやすくなります。また、腸内環境が悪化することで血糖値やコレステロール値の上昇などが生じることがあります。
【食物繊維 摂取のコツ】
生のままでは食べきれない量の野菜でも、加熱するとかさが減って食べやすくなります。『※水溶性食物繊維』『※不溶性食物繊維』それぞれの役割があるので、いろいろな食品から摂取するとよいです。
※(水溶性食物繊維の特徴)
- 人体に有害な物質の吸収を妨げ、便として排出させる。
- ブドウ糖の吸収速度を遅くし、食後の急激な血糖の上昇を防ぐため、糖尿病の予防効果があります。また、コレステロールの吸収を抑制するため、動脈硬化の予防。ナトリウムを排除して血圧を下げるため、高血圧の予防効果があります。
- 野菜、芋、豆等に多く含まれます。
※(不溶性食物繊維の特徴)
- 水に溶けず、水分を吸収してふくれ、腸壁を刺激して便の排泄を促進させるため、便秘の予防になります。
- 不溶性食物繊維の多い食品はよく噛む必要があるため、食べすぎを防ぎ、歯茎や顎を強くします。
- 豆類に多く含まれます。
キャベツの健康効果と栄養を損なわない食べ方のまとめ
野菜、果物などに含まれる栄養素で代表的なのが、ビタミン・ミネラル・食物繊維です。これらの栄養素は、微量でも他の栄養素を手助けしたり、体の機能を正常に保ったりなど体にとって重要な働きをしています。しかし、体内で合成することができない栄養素は、食品から摂取しなくてはなりません。その食品の中でも野菜、果物が生活習慣病の予防に役立つことは、研究により明らかになっています。いろいろな食品と組み合わせて、体に必要な栄養素をまんべんなく摂取することが大事です。
【野菜の摂取目標】
生活習慣病などを予防し、健康な生活を維持するための目標値の一つに『野菜類を一日350g以上食べましょう』があります。しかし、厚生労働省が実施している「国民健康・栄養調査」によると、野菜類平均摂取量は、『成人男性で約290g』『成人女性で約270g』です。
あと一皿多く野菜を食べることを心がけ、野菜摂取不足を解消させましょう。
≪参考資料≫
- 参考:七訂 食品成分表 2016
- 参考:カロリーSlism-栄養成分/カロリー計算
- 参考:からだに効く!野菜の新図鑑/発行所:株式会社 宝島社
- 参考:わかさの秘密