葉酸は胎児の発育や造血に不可欠!
葉酸は、妊娠中や授乳中に、また健康な血液をつくるために、欠かせない栄養素として知られていますが、現在では、その他様々な健康効果があるとして、期待されている注目のビタミンです。
何気なく、サプリメントで補給する人もいますが、葉酸の特徴を理解することも大事です。
当サイトを一読いただき、日々忙しい人の栄養補給の参考になれば幸いです。
目次
葉酸が不足すると?
【葉 酸-おすすめの人】 |
貧血を起こしやすい・妊娠中や授乳中・野菜嫌い・お酒好き・喫煙者・口内炎ができやすい |
葉酸はビタミンB12と一緒に、赤血球をつくるために欠かせないビタミンです。赤血球は、約4カ月周期で新しいものがつくられています。このとき葉酸が不足すると「巨赤芽球(きょせきがきゅう)」という異常に大きな赤血球ができて「※悪性貧血」を起こします。
悪性貧血とは? |
ビタミンB群のビタミンB12と葉酸は、協力して赤血球のヘモグロビンの合成を助けています。不足すると造血がうまくいかず、赤血球の数が減ったり、異常に大きい赤血球(巨赤芽球きょせきがきゅう)ができたりします。これを「悪性貧血」と言いますが、以前は原因不明の治療法のない病気とされていました。現在は、葉酸とビタミンB12との関連が解明されており、これらの栄養素を補給すれば症状が改善されるようになりました。
ビタミンB12は、血液をつくる赤いビタミン!
ビタミンB12は、加齢とともに不足しやすいという特徴があります。脳を正常に働かせる栄養素... |
【葉酸不足による粘膜異常に注意!】
葉酸は、タンパク質の合成にも関わっています。不足すると粘膜の新陳代謝がうまくできなくなり、口内炎ができやすく、潰瘍といった粘膜の異常が起こりやすくなります。
【妊娠中や授乳中の葉酸不足に注意!】
妊娠中や授乳中は、特に葉酸の摂取がすすめられます。これは、胎児や乳幼児の成長に、葉酸が使われるためです。胎児や乳幼児のときに、葉酸が不足すると、脳神経細胞の成長や代謝に異常が現れて発育不全を起こすので注意が必要です。
葉酸不足で起こる貧血が、大人よりも子供に多いのは、成長のために必要なタンパク質の合成に、葉酸が欠かせないからです。
葉酸の特徴
<葉酸は水溶性ビタミン>
葉酸の成分名は、「プテロイルグルタミン酸」と呼ばれ、ほうれん草から発見されたビタミンB群の一種です。
主な働きは、ビタミンB12と協力して赤血球をつくることです。また、タンパク質や遺伝子情報をもつ核酸(DNA)を合成し、体の発育を促します。
葉酸は健康な細胞づくりに欠かせない!
葉酸は、細胞の核の中に存在していて、遺伝子情報を保存したり、その情報どおりに細胞をつくるために指令を出しているDNAやRNAなどの「核酸」の合成に必要です。
核酸の中にある遺伝子情報を元に、体はつくられていくので、これが正常につくられないと成長が阻害されてしまいます。また、葉酸が不足すると、核酸内の情報が正確にコピーできなくなり、異常な細胞をつくり出してしまう危険もあります。
葉酸の健康効果に注目!
近年、葉酸には血液中のホモシステイン(アミノ酸の一種)の濃度を下げて動脈硬化を予防する効果があることが分かってきました。
海外では、葉酸を添加した食品を利用したところ、脳卒中の死亡率が3割減少したという報告もあるようです。
このほか認知症の予防など、今後、葉酸の健康効果に期待が高まりそうです。
葉酸を含む食材と摂取ポイント
画像出典:鶏レバーの蜂蜜バルサミコソース
“葉酸”は名前どおり野菜に豊富!
葉酸は、ほうれん草から発見されたビタミンで、その名のとおり野菜に豊富ですが、果物や納豆などの豆類、のりなどの海藻類にも比較的多く含まれています。
【レバーは葉酸の宝庫】
葉酸を豊富に含む動物性食品は、あまりありませんが、レバーだけは別格で、非常に多くの葉酸を含んでいます。魚介類も内臓ごと食べる貝や小魚に比較的豊富です。これは、葉酸が細胞の新生に関わる栄養素のため、内臓などの細胞増殖が盛んな場所に分布しているためと考えられます。
葉酸を多く含む食材と摂取基準
(参考食材)葉酸 可食部100g当たり成分値(㎍) | ||||
肉 ・魚類(㎍) | 野菜 類(㎍) | |||
牛レバー(生) | 1000 | 和種・菜の花(生) | 340 | |
豚レバー(生) | 810 | モロヘイヤ(生) | 250 | |
鶏レバー(生) | 1300 | ほうれん草(生) | 210 | |
すじこ | 160 | ブロッコリー(生) | 210 | |
イクラ | 100 | ルッコラ(生) | 170 | |
海藻・貝 類(㎍) | 果物 類(㎍) | |||
あまのり/焼きのり | 1900 | ドリアン | 150 | |
いわのり 素干し | 1500 | イチゴ | 90 | |
乾燥わかめ 素干し | 440 | アボカド | 84 | |
ほたてがい(生) | 87 | マンゴー | 84 | |
あわび(干し) | 87 | キウイ(緑肉腫) | 36 |
- 加熱調理などにより成分値は変化します。
- 成分値は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)によるものです。これ以前の日本食品標準成分表と異なる場合があります。
葉酸-年齢別一日の食事摂取基準(㎍/日)
年齢 | 推奨量(㎍) | 耐容上限量(㎍) | ||
男 性 | 女 性 | 男 性 | 女 性 | |
0~ 5(月) | 40(目安量) | 40(目安量) | ー | ー |
6~11(月) | 60(目安量) | 60(目安量) | ー | ー |
1~2(歳) | 90 | 90 | 200 | 200 |
3~5(歳) | 100 | 100 | 300 | 300 |
6~7(歳) | 130 | 130 | 400 | 400 |
8~9(歳) | 150 | 150 | 500 | 500 |
10~11(歳) | 180 | 180 | 700 | 700 |
12~14(歳) | 230 | 230 | 900 | 900 |
15~17(歳) | 250 | 250 | 900 | 900 |
18~29(歳) | 240 | 240 | 900 | 900 |
30~49(歳) | 240 | 240 | 1000 | 1000 |
50~69(歳) | 240 | 240 | 1000 | 1000 |
70以上(歳) | 240 | 240 | 900 | 900 |
妊婦(付加量) | – | +240 | – | – |
授乳婦(付加量) | – | +100 | – | – |
参考=日本食品標準成分表2015年版(七訂)
≪妊娠を計画している女性、または、妊娠の可能性のある女性は、神経管閉鎖障害のリスクの低減のために、付加的に400㎍/日のプテロイルモノグルタミン酸の摂取量が望まれる≫
- 【推奨量】=ほとんどの日本人が1日の必要量を満たすと推定される摂取量。
- 【目安量】=十分な科学的根拠が得られず、設定した摂取量ですが、一定の栄養状態を維持するのに十分な量であ り、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
- 【耐容上限量】=過剰摂取による健康障害の回避を目的として、設定された摂取量。
(サプリメントや強化食品に含まれるプテロイルモノグルタミン酸の量)
【葉酸の過剰摂取について】
葉酸は水に溶けやすい「水溶性のビタミン」に分類されるので、通常の食生活で過剰になるほど摂取するとは考えにくく、たとえ過剰摂取したとしても不要な分は尿などで自然に排出されるので、ほとんど心配ありません。
しかし、あまりにも過剰な摂取や治療によって大量投与した場合などには、体に悪影響を及ぼす可能性があるため、耐容上限量(㎍/日)が設定されています。
通常の食事での過剰摂取は、あまり心配ありませんが、サプリメントなどで補う場合注意が必要です。
葉酸の摂取ポイント
葉酸は鮮度が大事!
葉酸は光や熱に弱く、酸化しやすい成分です。保存や調理で損失されやすいため、食材が新鮮なうちに、手早く調理して食べることで効率よく摂取できます。
食材を保存する場合、購入したらそのまま放置せず、すぐに冷蔵庫か冷暗所に移しましょう。
葉酸-摂取の注意点
妊娠中や授乳中は葉酸の摂取量に注意!
胎児や乳幼児の成長に欠かせない葉酸は、妊娠中や授乳中の摂取量は、通常の2倍程度必要になります。推奨量されている葉酸の摂取量は、妊娠中で通常の摂取量+240㎍・授乳中で+100㎍となっています。さらに、妊娠1ヶ月前から妊娠3ヶ月までは、食事以外に400㎍/日程度の葉酸摂取を推奨しています。
ただし、過剰にとると胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため、葉酸摂取の時期と量を適切にしなければなりません。葉酸サプリメントの多くは、例えば1粒に葉酸400μgを含むなど1日1粒を服用すれば十分な量になっています。これを一度に3粒飲めば1日の上限を軽く超えてしまうため、トラブルに繋がる可能性があります。サプリメントを使用する場合、決められた用量を守るよう注意してください。
葉酸が不足すると?
【ビタミンの働きと食材からの摂取ポイント】のまとめ
野菜、果物などに含まれる栄養素で代表的なのが、ビタミン・ミネラル・食物繊維です。これらの栄養素は、微量でも他の栄養素を手助けしたり、体の機能を正常に保ったりなど体にとって重要な働きをしており、葉酸もその一つです。
いろいろな食品と組み合わせて、体に必要な栄養素をまんべんなく摂取することで、様々な病気を防ぐことができます。特に野菜や果物は、生活習慣病などの予防に役立つことは、研究により明らかになっています。あと一皿、多く野菜を食べることをおすすめします。
- 参考=文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
- 参考=発行所:株式会社 永岡書店:図解でわかる!からだにいい食事と栄養の教科書
- 参考=発行所:高橋書店/あたらしい栄養学
- 参考=発行所:株式会社 学研プラス/知っておきたい栄養学