ビタミンB12は、血液をつくる赤いビタミン!
ビタミンB12は、加齢とともに不足しやすいという特徴があります。脳を正常に働かせる栄養素でもあるため不足すると、うつ状態を招いたり、アルツハイマー病とも関係することが分かっています。何気なく、サプリメントで補給する人もいますが、ビタミンB12の特徴を理解することも大事です。
当サイトを一読いただき、日々忙しい人の栄養補給の参考になれば幸いです。
目次
ビタミンB12が不足すると?
【ビタミンB12-おすすめの人】 |
貧血を起こしやすい・菜食主義者・高齢者・お酒好き・喫煙者・疲れやすい・気分が沈みがち(うつ状態)・消化器官の切除手術を受けた人 |
ビタミンB12が不足すると、造血機能が低下して「※悪性貧血」を起こします。また、神経系の働きが悪化して神経障害やうつ病などを招きやすくなります。
悪性貧血とは? |
ビタミンB群のビタミンB12と葉酸は、協力して赤血球のヘモグロビンの合成を助けています。不足すると造血がうまくいかず、赤血球の数が減ったり、異常に大きい赤血球(巨赤芽球きょせきがきゅう)ができたりします。これを「悪性貧血」と言いますが、以前は原因不明の治療法のない病気とされていました。現在は、葉酸とビタミンB12との関連が解明されており、これらの栄養素を補給すれば症状が改善されるようになりました。
葉酸は胎児の発育や造血に不可欠!
葉酸は、妊娠中や授乳中に、また健康な血液をつくるために、欠かせない栄養素として知られていますが、現在... |
ビタミンB12の特徴
<ビタミンB12は水溶性ビタミン>
ビタミンB12は、「コラバミン」という成分名で、赤色の結晶になるため『赤いビタミン』とも呼ばれます。同じビタミンB群の葉酸と協力して赤血球の※ヘモグロビンの合成を助けるほか、神経細胞内の脂質やタンパク質、核酸(遺伝子の主成分)の合成に働きます。また、ビタミンB12は、脳を正常に働かせるために、欠かせないのですが、加齢とともに不足しやすいという特徴があります。不足するとうつ状態やアルツハイマー病を招きやすくなります。
※ヘモグロビン=ヘモグロビンとは、血液の中の赤血球の赤い色素のことで、私たちの体の中を巡って酸素を各器官に届ける役割を持っています。ヘモグロビンが少なくなると、体に酸素が十分に行き渡らなくなるため、貧血状態になって動悸や息切れを起こしやすくなります。
【ベジタリアンはビタミンB12不足に注意!】
ビタミンB12は、動物性食品にく含まれまています。植物性食品では、海藻類の青のりなどに含まれていますが、その他の野菜や果物などには、ほとんど含まれていません。
そのため、野菜中心の食生活を送っているベジタリアンは、ビタミンB12不足に注意が必要です。
【時差ボケにビタミンB12は有効!】
海外旅行に行ったときに、旅行先や帰国後、時差ボケに悩まされた経験はないでしょうか。実は、生体のバイオリズムの調整にビタミンB12が作用していると考えられています。ビタミンB12を大量に摂取すると、バイオリズムが整い、時差ボケの解消に役立つ研究結果もあるようです。また、この研究により、不規則な生活習慣が原因の不眠症などにも、効果があるのではないかとされています。
ビタミンB12を含む食材と調理法
ビタミンB12は、微生物によって合成されるため、基本的に動物性食品にしか含まれません。肉類では、レバーやハツなどの内臓に多く含まれ、鶏肉や牛肉、豚肉に多く含まれています。また、魚介類では、貝類に多く含まれ、アサリやシジミ、カキなど、種類を問わず豊富です。
【例外的に海藻類の“のり”に含まれるビタミンB12!】
基本的に、植物性食品はビタミンB12を含みません。しかし、例外的に海藻類にビタミンB12を含むものがあり、特に「あまのり」や「いわのり」には、多く含まれています。
なぜ、海藻に、ビタミンB12が含まれているのか理由は解明されていないようですが、海藻の表面に付着している微生物が関係していると推察されています。
ビタミンB12を多く含む食材と摂取基準
(参考食材)ビタミンB12 可食部100g当たり成分値(㎍) | ||||
肉 ・魚類(㎍) | 貝 類(㎍) | |||
牛レバー(生) | 52.8 | あさり(生) | 52.4 | |
豚レバー(生) | 25.2 | しじみ(生) | 68.4 | |
鶏レバー(生) | 44.4 | か き(生) | 28.1 | |
さんま 皮つき(焼き) | 16.3 | はまぐり(生) | 28.4 | |
真さば(焼き) | 21.9 | ほっきがい(生) | 47.5 | |
海藻 類(㎍) | チーズ 類(㎍) | |||
あおのり 素干し | 32.1 | ナチュラルチーズ エダム | 2.8 | |
あまのり/干しのり | 77.6 | パルメザン チーズ | 2.5 | |
あまのり/焼きのり | 57.6 | カマンベール チーズ | 1.3 | |
あまのり/味付のり | 58.1 | モッツアレラ チーズ | 1.6 | |
いわのり 素干し | 39.9 | プロセスチーズ | 3.2 |
- 加熱調理などにより成分値は変化します。
- 成分値は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)によるものです。これ以前の日本食品標準成分表と異なる場合があります。
ビタミンB12-年齢別一日の食事摂取基準(㎍/日)
年齢 | 推奨量(㎍) | 耐容上限量(㎍) | ||
男 性 | 女 性 | 男 性 | 女 性 | |
0~ 5(月) | 0.4(目安量) | 0.4(目安量) | ー | ー |
6~11(月) | 0.5(目安量) | 0.5(目安量) | ー | ー |
1~2(歳) | 0.9 | 0.9 | ー | ー |
3~5(歳) | 1.0 | 1.0 | ー | ー |
6~7(歳) | 1.3 | 1.3 | ー | ー |
8~9(歳) | 1.5 | 1.5 | ー | ー |
10~11(歳) | 1.8 | 1.8 | ー | ー |
12~14(歳) | 2.3 | 2.3 | ー | ー |
15~17(歳) | 2.5 | 2.5 | ー | ー |
18~29(歳) | 2.4 | 2.4 | ー | ー |
30~49(歳) | 2.4 | 2.4 | ー | ー |
50~69(歳) | 2.4 | 2.4 | ー | ー |
70以上(歳) | 2.4 | 2.4 | ー | ー |
妊 婦(付加量) | ー | +0.4 | ー | ー |
授乳婦(付加量) | ー | +0.8 | ー | ー |
参考=日本食品標準成分表2015年版(七訂)
- 【推奨量】=ほとんどの日本人が1日の必要量を満たすと推定される摂取量。
- 【目安量】=十分な科学的根拠が得られず、設定した摂取量ですが、一定の栄養状態を維持するのに十分な量であ り、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
- 【耐容上限量】=過剰摂取による健康障害の回避を目的として、設定された摂取量。
(ビタミンB12は耐容上限量は設定されていません。)
【ビタミンB12-摂取の注意点】
ビタミンB12は、水溶性で体内に蓄積しないため、一般的な食事で過剰摂取の心配はありません。逆に、意識して毎食摂ることが大切です。
ビタミンB12を効率よく摂取する調理法
画像出典:あさりのお吸い物(汁物)のレシピ/作り方
ビタミンB12は鮮度が大事!
ビタミンB12は、熱には安定していますが、光に弱く、酸化しやすい成分です。
保存する場合は、なるべく空気に触れないよう、しっかり包むか密閉して、できるだけ早めに食べ切るようにしましょう。
貝類の煮汁がおすすめ!
ビタミンB12は、水溶性のため、調理すると煮汁などに成分が溶け出してしまいます。せっかくの成分を逃がさないためにも、煮汁ごと食べられる調理にするとよいです。
豊富にビタミンB12を含む貝類からは、美味しい出汁が出るのでアサリやシジミの味噌汁やスープなど、おすすめです。
【ビタミン12は消化器官の働きが重要!】
ビタミン12が、腸管から吸収されるときには、胃壁から分泌される物質と結合する必要があります。このため、胃を切除した人や、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染者、胃の粘膜になんらかの障害があり、胃液の分泌が少ない人は、胃壁から分泌される物質が不足してビタミンB12の吸収が、うまく出来なくなります。このような、特に胃に障害がある場合、積極的なビタミンB12の摂取をおすすめします。
ビタミンB12が不足すると?
【栄養素の効果と食材の摂取ポイント】のまとめ
うつ病やアルツハイマー病は、自分自身だけでなく、周りの家族にも非常に大きな負担がかかります。ビタミンB12だけで、このような病気を防ぐことはできませんが、予防効果があるとして、意識して毎日の食事に摂り入れることが大事です。
家族との楽しい時間を、できるだけ長く過ごすためにも※健康寿命を延ばしましょう。
健康寿命を延ばそう!
健康寿命とは、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のことです。
平均寿命と健康寿命の間には、男性で約9年、女性で約13年の差があります。 誰もが最後まで、健康でいきいきとした生活を送りたいと思っています。健康寿命を延ばし、家族との楽しい時間を延ばすことこそが、生きるものの務めと心得ましょう。
- 参考=文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
- 参考=発行所:株式会社 永岡書店:図解でわかる!からだにいい食事と栄養の教科書
- 参考=発行所:高橋書店/あたらしい栄養学
- 参考=発行所:株式会社 学研プラス/知っておきたい栄養学