パントテン酸はストレスに強くなるビタミン!
パントテン酸は、『どこにでもある酸』という意味のギリシャ語からつけられています。
その名のとおり幅広い食材に含まれており、糖質、脂質、タンパク質の代謝に関わり、エネルギーを生み出すビタミンです。また、免疫機能やストレスへの抵抗力に大きな役割を担っています。
何気なく、サプリメントで補給する人もいますが、パントテン酸の特徴を理解することも大事です。当サイトを一読いただき、日々忙しい人の栄養補給の参考になれば幸いです。
目次
パントテン酸が不足すると?
【パントテン酸-おすすめの人】 |
アルコールやカフェインの摂取量が多い・食欲不振・口内炎ができやすい・ストレスが多い・風邪をひきやすい・疲れやすい |
パントテン酸は、様々な食材に含まれるうえ、腸内細菌によっても合成されるため、普通の食事をしていれば、摂取不足が極端に心配される栄養素ではありません。
ただし、アルコールやカフェインは、体内のパントテン酸を減らすので、これらを毎日多量に飲んでいる人は、パントテン酸不足に注意してください。
【パントテン酸-欠乏症の主な症状】
- 焼けるような足の痛み
- めまい
- 成長停止
- 細菌に対する抗体生産能の低下
- 副腎障害
パントテン酸の特徴
<パントテン酸は水溶性ビタミン>
【パントテン酸の特徴/効果】
- 幅広い食材に含まれ、不足することが少ないビタミン
- 糖質、脂質、タンパク質の代謝に関わり、エネルギーを生み出す
- 抗ストレスホルモンの分泌を促し、ストレスに強い体をつくる
パントテン酸が不足すると心身ともに弱くなる!
人は、ストレスを感じると「副腎皮質ホルモン」という、抗ストレスホルモンを分泌してストレスに対抗します。このとき、副腎皮質ホルモンの産生を助けるのがパントテン酸です。また、ビタミンB6や葉酸など、他のビタミンB群とともに、「抗体」という免疫機能に働く物質をつくり出し、風邪や感染症を防ぎます。
パントテン酸は、あらゆる食材に含まれているので、バランスよく食事をしていれば、病気も遠ざかります。
動脈硬化の予防に!
パントテン酸には「善玉(HDL)コレステロール」を増やす作用もあります。
善玉コレステロールには、血液中の余分なコレステロールを回収して肝臓に運んで、体外への排出を促すという働きがあります。このため、パントテン酸を十分に摂取することは、動脈硬化の予防につながると言えます。
パントテン酸を含む食材と調理法
画像出典:ライフスタイルはアンビエントクイジン
パントテン酸は、いろいろな食材に含まれているため、バランスのとれた食事をしていれば、まず不足することはありませんが、特にパントテン酸を豊富に含む食材は、動物性食品のレバーや鶏肉、イクラ、たらこ、卵などです。
植物性食品なら納豆やきのこ類などです。
パントテン酸を多く含む食材と摂取基準
(参考食材)パントテン酸 可食部100g当たり成分値(㎎) | ||||
肉 類(㎎) | 魚介 類(㎎) | |||
鶏レバー(生) | 10.10 | すじこ | 2.40 | |
豚レバー(生) | 7.19 | イクラ | 2.36 | |
牛レバー(生) | 6.40 | さけ(焼き) | 1.67 | |
鶏ささ身(焼き) | 3.16 | うなぎ蒲焼き | 1.29 | |
鶏むね皮付(焼き) | 2.51 | ほたるいか(生) | 1.09 | |
野菜 類(㎎) | きのこ 類(㎎) | |||
モロヘイヤ(生) | 1.83 | 乾しいたけ(乾) | 7.93 | |
かんぴょう(乾) | 1.75 | ひらたけ | 2.40 | |
切り干し大根(乾) | 1.24 | まつたけ(生) | 1.91 | |
ブロッコリー | 1.12 | マッシュルーム(生) | 1.54 | |
あしたば(生) | 0.92 | えのきたけ(生) | 1.40 | |
トウミョウ(生) | 0.80 | なめこ(生) | 1.25 |
- 加熱調理などにより成分値は変化します。
- 成分値は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)によるものです。これ以前の日本食品標準成分表と異なる場合があります。
パントテン酸-年齢別一日の食事摂取基準(㎎/日)
年齢 | 目安量(mg) | 耐容上限量(mg) | ||
男 性 | 女 性 | 男 性 | 女 性 | |
0~ 5(月) | 4 | 4 | ー | ー |
6~11(月) | 3 | 3 | ー | ー |
1~2(歳) | 3 | 3 | ー | ー |
3~5(歳) | 4 | 4 | ー | ー |
6~7(歳) | 5 | 5 | ー | ー |
8~9(歳) | 5 | 5 | ー | ー |
10~11(歳) | 6 | 6 | ー | ー |
12~14(歳) | 7 | 6 | ー | ー |
15~17(歳) | 7 | 5 | ー | ー |
18~29(歳) | 5 | 4 | ー | ー |
30~49(歳) | 5 | 4 | ー | ー |
50~69(歳) | 5 | 5 | ー | ー |
70以上(歳) | 5 | 5 | ー | ー |
妊 婦 | ー | 5 | ー | ー |
授乳婦 | ー | 5 | ー | ー |
参考=日本食品標準成分表2015年版(七訂)
- 【目安量】=十分な科学的根拠が得られず、設定した摂取量ですが、一定の栄養状態を維持するのに十分な量であ り、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
- 【耐容上限量】=過剰摂取による健康障害の回避を目的として、設定された摂取量。
(パントテン酸は耐容上限量は設定されていません。)
【パントテン酸-摂取の注意点】
パントテン酸は、善玉コレステロールを増やす作用があるため、コレステロール値や中性脂肪値が高い人は、積極的に摂取したほうがよい栄養素です。基本的にパントテン酸は、過剰摂取の心配はなく、耐容上限量の設定もありません。
パントテン酸を効率よく摂取する調理法
画像出典:ヒラタケシメジのバター醤油炒め
パントテン酸は新鮮な食材に豊富!
パントテン酸は、熱によって分解されやすいため、加熱調理は短時間でサッと済ませてください。水溶性なので煮汁も利用するとよいでしょう。また、缶詰や冷凍、加工食品は、加工の過程でパントテン酸が減りやすいので、自然な食材をシンプルに調理するのがおすすめです。
ビタミンCと合わせると美肌に!
ビタミンCは、細胞の結合組織であるコラーゲンの生成を助けます。また、パントテン酸の、皮膚や髪を健康に保つ働きを高めるので、パントテン酸+ビタミンCは美肌効果が期待できます。さらに、どちらも体の免疫力を高めるので、風邪などの感染症予防にもなります。
【ビタミンCを豊富に含む食材】=緑黄色野菜・いも類・果物 など
ビタミンEと合わせるとストレスに強くなる!
ビタミンEは、酵素の力で副腎の働きを助けます。パントテン酸は、副腎に働きかけ抗ストレスホルモンの分泌を促すので、パントテン酸+ビタミンEは、ストレスに強い体づくりに効果があります。できれば、ビタミンCも副腎の働きを強化するので、『パントテン酸+ビタミンE+ビタミンC』で、よりいっそうストレス撃退に効果的です。
【ビタミンEを豊富に含む食材】=西洋かぼちゃ・モロヘイヤ・アーモンド・オリーブ油 など
パントテン酸が不足すると?
【ビタミンの働きと食材からの摂取ポイント】のまとめ
野菜、果物などに含まれる栄養素で代表的なのが、ビタミン・ミネラル・食物繊維です。これらの栄養素は、微量でも他の栄養素を手助けしたり、体の機能を正常に保ったりなど体にとって重要な働きをしており、パントテン酸もその一つです。
いろいろな食品と組み合わせて、体に必要な栄養素をまんべんなく摂取することで、様々な病気を防ぐことができます。特に野菜や果物は、生活習慣病などの予防に役立つことは、研究により明らかになっていますので、あと一皿、多く野菜を食べることをおすすめします。
- 参考=文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
- 参考=発行所:株式会社 永岡書店:図解でわかる!からだにいい食事と栄養の教科書
- 参考=発行所:高橋書店/あたらしい栄養学
- 参考=発行所:株式会社 学研プラス/知っておきたい栄養学