ビタミンKは止血ビタミン!
ビタミンKは、出血したとき血を固まらせる作用があります。また、丈夫な骨づくりに欠かせない栄養素でもあるため、怪我に強くなるビタミンとも言えます。何気なく、サプリメントで補給する人もいますが、ビタミンKの特徴を理解することも大事です。
当サイトが、食事やサプリメントでの栄養補給の参考に、また日々の当たり前の健康を維持するための参考に一読いただければ幸いです。
目次
ビタミンKが不足すると?
【ビタミンK-おすすめの人】 |
骨や歯が弱い・抗生物質を服用している・妊婦・授乳婦・月経過多・更年期 |
ビタミンKは、通常の食事をしていれば、不足することはほとんどありませんが、血液凝固因子の合成を助けるので、不足すると、出血が止まりにくくなります。このため、血液凝固が遅れて胃腸からの出血や月経過多などの症状が起こります。また、慢性的なビタミンK不足は、骨粗しょう症を招く恐れもあります。
ビタミンKの特徴
<ビタミンKは脂溶性ビタミン>
ビタミンKは、大きく分けると『ビタミンK1』と『ビタミンK2』の2種類があります。
- 【ビタミンK1(フィロキノン)】=植物性食品に含まれており、特に緑黄色野菜や海藻類に多く含まれています。
- 【ビタミンK2(メナキノン)】=微生物によって合成される成分のため、動物性食品や発酵食品に多く含まれますが、腸内細菌によっても合成されます。
(新生児の場合、腸内でビタミンK2の合成はできないのでビタミンKシロップが処方され、粉ミルクにはビタミンKが添加されています。)
ビタミンK不足は血が止まりにくい!
ビタミンKが不足すると、血液を凝固させる作用が低下するため、『鼻血が出やすくなる』・『歯ぐきから出血しやすくなる』・『怪我をしたときなどに出血が止まりにくくなる』・『内出血によるあざができやすく、治りにくい』など、外傷の度合いにもよりますが、血が止まりにくくなります。
新生児のビタミンK不足には注意!
新生児の場合、腸内細菌がいないため、腸内細菌からつくられるビタミンK2が合成されません。その結果「頭蓋内出血症(ずがいないしゅっけつしょう)」を起こす可能性があります。
現在では、新生児には「ビタミンKシロップ」が処方され、粉ミルクにはビタミンKが添加されています。
抗生物質の服用者はビタミンK不足に注意!
抗生物質を長期間使用していると、腸内細菌が無差別に攻撃され、ビタミンK2が合成されず、結果、ビタミンKが不足する場合があります。心配な場合は、ビタミンKを多く含む野菜や納豆、海藻などを積極的に食べて、食品からの摂取量を増やすよう心がけましょう。
閉経後はビタミンKを含む食品を!
閉経後の女性は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少により骨密度が低下し、骨粗しょう症を招きやすくなります。このとき、血中のビタミンK濃度も低下するため、ビタミンKを含む食品を摂ると、骨の健康維持に役立つのではないかと考えられています。
ビタミンKを含む食材と調理法
ビタミンKは、腸内細菌のような微生物によってつくられます。このため、納豆のような発酵食品に多く含まれています。このほか、ほとんどの野菜、特に緑黄色野菜に多く含まれているので、普通の食事をしていれば、不足する心配はほとんどありません。
ビタミンKを多く含む食材と摂取基準
(参考食材)ビタミンK 可食部100g当たり成分値(㎍) | |||
野 菜 | 加工食品・その他 | ||
モロヘイヤ | 生640・茹450 | 糸引き納豆 | 600 |
春 菊 | 生250・茹460 | 挽きわり納豆 | 930 |
に ら | 生180・茹330・油炒220 | 乾燥わかめ素干し | 660 |
小松菜 | 生210・茹320 | 乾燥わかめ素干し・水戻し | 120 |
ほうれん草 | 生270・茹320・油炒510 | めかぶわかめ(生) | 40 |
ブロッコリー | 生160・茹150 | 若鶏肉もも皮つき から揚げ |
45 |
- 加熱調理などにより成分値は変化します。
- 成分値は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)によるものです。これ以前の日本食品標準成分表と異なる場合があります。
【ビタミンK-年齢別一日の食事摂取基準(㎍/日)】 | ||||
年齢 | 目安量(mg) | 耐容上限量(mg) | ||
男 性 | 女 性 | 男 性 | 女 性 | |
0~ 5(月) | 4 | 4 | ー | ー |
6~11(月) | 7 | 7 | ー | ー |
1~2(歳) | 60 | 60 | ー | ー |
3~5(歳) | 70 | 70 | ー | ー |
6~7(歳) | 85 | 85 | ー | ー |
8~9(歳) | 100 | 100 | ー | ー |
10~11(歳) | 120 | 120 | ー | ー |
12~14(歳) | 150 | 150 | ー | ー |
15~17(歳) | 160 | 160 | ー | ー |
18~29(歳) | 150 | 150 | ー | ー |
30~49(歳) | 150 | 150 | ー | ー |
50~69(歳) | 150 | 150 | ー | ー |
70以上(歳) | 150 | 150 | ー | ー |
妊 婦 | ー | 150 | ー | ー |
授乳婦 | ー | 150 | ー | ー |
参考=日本食品標準成分表2015年版(七訂)
- 【目安量】=十分な科学的根拠が得られず、設定した摂取量ですが、一定の栄養状態を維持するのに十分な量であ り、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
- 【耐容上限量】=過剰摂取による健康障害の回避を目的として、設定された摂取量。
(ビタミンKは耐容上限量は設定されていません。)
【ビタミンK摂取の注意点】
血栓症や心房細動(不規則な心拍動)などの患者さんに処方される高血液凝固薬(血液を固まりにくくする薬)「ワーファリン」を服用している人は注意してください。納豆、ブロッコリー、ほうれん草など、医師と相談のうえ食べるようにしてください。
ビタミンKは、普段の食生活で、過剰摂取の心配はほとんどありませんが、ごくまれに貧血や血圧低下などの症状が現れることもあるようです。血栓症など、血液の凝固が原因となる病気にかかっていて、血行促進作用のある薬を飲んでいる人は、摂取量に注意が必要です。
ビタミンKを効率よく摂取する調理法
油で調理して吸収率アップ!
ビタミンKは、脂溶性ビタミンなので、油を使って調理すると吸収率が高くなります。また、脂質を含む食品と一緒に食るのも効果的です。
【調理のポイント】
ビタミンKは熱に強いため、加熱調理しても大丈夫です。特に野菜は、加熱すると、カサが減り量をたくさん摂れるので、油を使う炒め物など、おすすめです。
ビタミンKが不足すると?
【ビタミンの働きと食材からの摂取ポイント】のまとめ
外で元気に遊ぶ子供や現場仕事の大人など、チョットした怪我は付き物です。
止血作用があり骨も丈夫にするビタミンKは、そんな怪我から体を守ってくれる欠かせない栄養素です。歯ぐきから出血しやすくなったり、怪我をして血が止まりにくいと感じたらビタミンKを意識してください。
ただし、大きな怪我による出血だけは注意してください。当然ですが、いくらなんでもビタミンKだけでの止血は無理です。遊びも仕事も安全第一でお願いします。
- 参考=文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
- 参考=発行所:株式会社 永岡書店:図解でわかる!からだにいい食事と栄養の教科書
- 参考=発行所:高橋書店/あたらしい栄養学
- 参考=発行所:株式会社 学研プラス/知っておきたい栄養学