マグネシウムは体内のミネラルを調節する!
マグネシウムの60%は骨に含まれ、体内のミネラルバランスを調整する役割を担っています。また、エネルギーの産生やタンパク質の合成、神経伝達物質など、多くの生命活動に重要な役割を果たします。何気なく、サプリメントで補給する人もいますが、マグネシウムの特徴を理解することも大事です。
当サイトが、食事やサプリメントでの栄養補給の参考に、また日々の当たり前の健康を維持するための参考に一読いただければ幸いです。
目次
マグネシウムが不足すると?
【マグネシウム-おすすめの人】 |
ストレスが多い・加工食品や肉類を多く食べる・飲酒量が多い・足がよくつる |
マグネシウムが不足すると、血液中のカルシウムが血管壁に沈着しやすくなり、血管の内腔が狭くなって動脈硬化を招きやすくなります。更に、筋肉の収縮がうまくいかなくなり、心臓の血管壁で痙攣(けいれん)等が起こると、血管が詰まって、心筋梗塞や狭心症などを引き起こす危険性もあります。
【マグネシウム欠乏症状】
- 神経が興奮しやすくなる。
- 血管が拡張して過度に充血し、※心悸亢進を起こす。
※心悸亢進(しんきこうしん)=心臓の鼓動が平常よりも強く速くなること。精神的な興奮、激しい運動、心臓病などで起こる。
マグネシウムの特徴
マグネシウムは生理機能に必須のミネラル!
人間の体内には、酵素という、代謝をスムーズに行わせるために必要な物質が数百種類あります。マグネシウムはそのうち約300種類の酵素反応に関わり、体内で行われている、ほとんどすべての代謝や合成反応に必要となっています。
マグネシウムの主な働き/作用
マグネシウムは、カルシウムとの関係が深く、筋肉細胞の中に入り込むカルシウムの量を調節して、筋肉の収縮を促します。また摂り過ぎたカルシウムが血管壁に溜まるのを防ぎ、動脈硬化を予防する働きもあります。
ストレスが生じると、マグネシウムの消費量が増えます。マグネシウムを、しっかり補うことで、ストレスに負けない体をつくることができます。また、アルコールを摂り過ぎると、マグネシウムの排出量が増えます。お酒は適量を守りましょう。
マグネシウムはカルシウムとの摂取バランスに注意!
マグネシウムの摂取量は、カルシウムとのバランスを意識して摂ることが大切です。カルシウムの摂取量がマグネシウムより高まるほど、体内のカルシウムが血管壁などに沈着しやすくなります。カルシウム:マグネシウム=2:1の割合がベストです。
【過剰摂取に注意】
マグネシウムは基本的に不足しがちなミネラルであり、摂り過ぎても腎臓から排泄されるため、過剰症の心配はほとんどありません。ただし、稀にサプリメント等によって過剰摂取した場合、下痢や吐き気を起こしたり、筋力が低下して疲れやすくなります。また、血圧が低下するなどの症状が現れることがあります。
マグネシウムを含む食材と調理法
画像出典:玄米ご飯・味噌汁・梅干・ぬか漬けは最強の組み合わせ!
主食は玄米がおすすめ!
日本人がよく食べるもので、マグネシウムの摂取源となっているのが穀類です。精米すると減ってしまうので、胚芽米や玄米、全粒粉のパンなどを毎日食べていれば、不足することはまずないでしょう。アーモンドや落花生のような種実類も、マグネシウムのよい供給源になるので、おやつに食べるとよいでしょう。
マグネシウムを多く含む食材と摂取基準
(参考食材)マグネシウム 可食部100g当たり成分値(㎎) | ||||
穀 類(㎎) | 豆 類(㎎) | |||
玄 米(炊飯) | 49 | 豆腐・油揚げ(生) | 150 | |
半つき米(炊飯) | 22 | 木綿豆腐 | 130 | |
七分つき米(炊飯) | 13 | 国産 黄大豆(茹で) | 100 | |
ライ麦パン | 40 | 糸引き納豆 | 100 | |
そば(茹で) | 27 | あずき全粒(茹で) | 43 | |
種実 類(㎎) | 魚介 類(㎎) | |||
アーモンド(フライ味付け) | 270 | カットわかめ | 410 | |
落花生 乾/大粒種 | 170 | 乾燥わかめ(素干し/水戻し) | 130 | |
バターピーナッツ | 190 | いかなご煮干し | 130 | |
ピスタチオ(いり 味付け) | 120 | 真いわし 丸干し | 100 | |
甘 栗(あまぐり) | 71 | しらす干し 微乾燥品 | 80 |
- 加熱調理などにより成分値は変化します。
- 成分値は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)によるものです。これ以前の日本食品標準成分表と異なる場合があります。
マグネシウム-年齢別一日の食事摂取基準(㎎/日)
年齢 | 推奨量(㎎) | ※耐容上限量(㎎) | ||
男 性 | 女 性 | 男 性 | 女 性 | |
0~ 5(月) | 20(目安量) | 20(目安量) | ー | ー |
6~11(月) | 60(目安量) | 60(目安量) | ー | ー |
1~2(歳) | 70 | 70 | ー | ー |
3~5(歳) | 100 | 100 | ー | ー |
6~7(歳) | 130 | 130 | ー | ー |
8~9(歳) | 170 | 160 | ー | ー |
10~11(歳) | 210 | 220 | ー | ー |
12~14(歳) | 290 | 290 | ー | ー |
15~17(歳) | 360 | 310 | ー | ー |
18~29(歳) | 340 | 270 | ー | ー |
30~49(歳) | 370 | 290 | ー | ー |
50~69(歳) | 350 | 290 | ー | ー |
70以上(歳) | 320 | 270 | ー | ー |
妊 婦(付加量) | ー | +40 | ー | ー |
授乳婦(付加量) | ー | ー | ー | ー |
※通常の食品からの摂取の場合、耐容上限量は設定されていません。しかし、通常の食品以外(サプリメント等)からの摂取量の耐容上限量は、成人の場合350㎎/日・小児では5㎎/㎏体重/日となっています。
参考=日本食品標準成分表2015年版(七訂)
- 【推奨量】=ほとんどの日本人が1日の必要量を満たすと推定される摂取量。
- 【目安量】=十分な科学的根拠が得られず、設定した摂取量ですが、一定の栄養状態を維持するのに十分な量であ り、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
- 【耐容上限量】=過剰摂取による健康障害の回避を目的として、設定された摂取量。
マグネシウムを効率よく摂取する調理法
マグネシウムは穀類・種実・大豆・海藻など様々な食材に含まれる!
マグネシウムは、穀類の場合、精白していない玄米やライ麦パンに豊富です。また、魚介類に多いため、魚を主菜にするとマグネシウムが豊富な献立になります。
カルシウムと合わせて利用率を高める!
マグネシウムは、カルシウムが血管壁や肺、腎臓などに沈着するのを防ぎ、骨を強くします。また、マグネシウムはストレスが溜まると消費されますが、カルシウムにはイライラを鎮める作用があるため、ストレスによるマグネシウムの消耗を防いでくれます。
カルシウムを摂れば摂るほど、マグネシウムも消費されます。理想的な摂取バランスはカルシウム2に対してマグネシウム1くらいとされています。
【カルシウムが豊富な食材】=牛乳・ヨーグルト・干しエビ・モロヘイヤなど
ビタミンCと合わせてストレスに強くなる!
疲労や精神的なストレスなどを感じると、副腎皮質が反応して、抗ストレスホルモンを分泌します。その際、マグネシウムが消費され、ビタミンCがホルモンの成分として使われます。どちらも、しっかり補給しておくことで、ストレスに打ち勝てる強い体になります。
【ビタミンCが豊富な食材】=緑黄色野菜・いも類・果物など
マグネシウムが不足すると?
【栄養素の効果と食材の摂取ポイント】のまとめ
野菜、果物などに含まれる栄養素で代表的なのが、ビタミン・ミネラル・食物繊維です。これらの栄養素は、微量でも他の栄養素を手助けしたり、体の機能を正常に保ったりなど体にとって重要な働きをしており、マグネシウムもその一つです。
マグネシウムだけで健康な体はつくれません。まんべんなく、いろいろな食材から栄養を摂ることが大事です。
- 参考=文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
- 参考=発行所:株式会社 永岡書店:図解でわかる!からだにいい食事と栄養の教科書
- 参考=発行所:高橋書店/あたらしい栄養学
- 参考=発行所:株式会社 学研プラス/知っておきたい栄養学