カリウムは高血圧を防ぐ重要なミネラル!
カリウムは、ナトリウム(塩分)の排泄を促し、血圧を安定させる作用があり高血圧予防のために、積極的な摂取がすすめられている栄養素です。日本人の場合、食塩としてナトリウムを摂りすぎる傾向があるため、カリウムの摂取量が重視されています。
当サイトが、食事やサプリメントでのカリウムの栄養補給の参考に、また日々の当たり前の健康を維持するための参考に一読いただければ幸いです。
目次
カリウムが不足すると?
【カリウム-おすすめの人】 |
血圧が高い・塩分摂取量が多い・食欲不振・夏バテしやすい・ストレスが多い |
カリウムが不足すると余分なナトリウム(塩分)を排出できず、血圧が上がり、放っておくと動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞などを招きやすくなります。また、筋肉の収縮がうまくいかず、筋力が低下し疲れやすくなります。
【カリウム欠乏症の症状】
- 筋力が低下し、筋無力症またはマヒ状態になる。
- 腸がマヒして腸閉塞症になり、膀胱がマヒして拡張する。
- 知覚がにぶくなり、反射が低下。
【利尿作用のあるものに注意!】
カリウムは主に、尿で体外へ排出されます。そのため利尿作用の強い、お茶やコーヒー、ビールなどのアルコール飲料を摂り過ぎると、カリウムも排出されやすくなります。
健康な人ならカリウムが欠乏する心配はありませんが、大量に汗をかいたときや長期間にわたって利尿剤を使用している人、慢性的に下痢の症状がある人などは、カリウム不足に注意が必要です。
カリウムの特徴
カリウムは、主に体の細胞内液に存在し、ナトリウムと協力して細胞内の※浸透圧を維持します。体内に十分なカリウムがあると、余分なナトリウムを排出して血圧を正常に保ちます。また、カリウムは腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
※浸透圧とは、溶液の中で溶媒が濃度の高い方から低い方へと流れていく力のことです。細胞の外側にナトリウム、内側にカリウムが存在し、互いに水分を引きつけ合って体内の水分量を調節しています。
カリウムの主な働き
- ナトリウムと協力して、細胞の浸透圧を維持する。
- 余分なナトリウム(塩分)を体外に排出し、血圧を正常に保つ。
- 腎臓の老廃物の排出を助け、筋肉の収縮をスムーズにする。
カリウム-摂取の注意点
特に摂取過剰症の心配はない!
カリウムは、摂り過ぎても排出され、体内に蓄積しないので、過剰症の心配はありません。
逆に、調理や他の栄養素の働きによって失われやすく、量を摂れないことの方が多いため、摂取量を増やす工夫が必要です。納豆や果物、ドライフルーツなど、調理せずに食べられるものがおすすめです。
【腎機能が低下している場合、過剰摂取に注意!】
カリウムは腎臓の働きによって排出されますが、腎臓の機能が低下しているとカリウムがうまく排出されず、血液中に溜まる『高カリウム血症』を招くこともあります。
嘔吐などの胃腸障害や不整脈などの原因となるため、摂取量はかかりつけ医など専門医の指示に従うようにしてください。
カリウムを含む食材と調理法
画像出典:干し柿の作り方&おいしいお菓子レシピ!
多くの食品に含まれるカリウム!
カリウムは、いろいろな食品に含まれています。ほとんどの食品は、ナトリウム(塩分)よりもカリウムが多く、味付けなしで食べれば、カリウムが摂れてナトリウム(塩分)の摂り過ぎにはなりません。
カリウムを多く含む食材は、果物や野菜、いも、大豆、海藻などです。野菜や果物を毎日しっかり食べていれば不足の心配はないでしょう。
【カリウム摂取は乾物がおすすめ!】
干し柿や干しぶどうなどのドライフルーツや、のりやひじきなどの海藻の乾物は成分が凝縮されているため、カリウムが豊富です。また、大豆製品の中では納豆に多く、大豆を摂るよりも効率よく摂取できます。
カリウムを多く含む食材と摂取基準
(参考食材)カリウム 可食部100g当たり成分値(㎎) | ||||
葉菜・果菜 類(㎎) | 果物 類(㎎) | |||
ほうれん草(茹で) | 490 | アボカド | 720 | |
ルッコラ(生) | 480 | バナナ | 360 | |
西洋かぼちゃ(茹で) | 430 | メロン 露地 緑肉腫 | 350 | |
にら(茹で) | 400 | キウイフルーツ緑肉腫 | 290 | |
きゅうり(生) | 200 | いちご | 170 | |
モロヘイヤ(茹で) | 160 | 干しぶどう | 740 | |
小松菜(茹で) | 140 | 干し柿 | 670 | |
根菜 類(㎎) | 豆 類(㎎) | |||
さといも(水煮) | 560 | グリンピース(揚げ豆) | 850 | |
石焼き芋(さつまいも) | 540 | 挽きわり納豆 | 700 | |
人参(皮むき 茹で) | 240 | 国産 黄大豆(茹で) | 530 | |
れんこん(茹で) | 240 | えだまめ(茹で) | 490 | |
ごぼう(茹で) | 210 | あずき(茹で) | 460 |
- 加熱調理などにより成分値は変化します。
- 成分値は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)によるものです。これ以前の日本食品標準成分表と異なる場合があります。
カリウム-年齢別一日の食事摂取基準(㎎/日)
年齢 | 目安量(㎎) | 目標量(㎎) | ||
男 性 | 女 性 | 男 性 | 女 性 | |
0~ 5(月) | 400 | 400 | ー | ー |
6~11(月) | 700 | 700 | ー | ー |
1~2(歳) | 900 | 800 | ー | ー |
3~5(歳) | 1100 | 1000 | ー | ー |
6~7(歳) | 1300 | 1200 | 1800以上 | 1800以上 |
8~9(歳) | 1600 | 1500 | 2000以上 | 2000以上 |
10~11(歳) | 1900 | 1800 | 2200以上 | 2000以上 |
12~14(歳) | 2400 | 2200 | 2600以上 | 2400以上 |
15~17(歳) | 2800 | 2100 | 3000以上 | 2600以上 |
18~29(歳) | 2500 | 2000 | 3000以上 | 2600以上 |
30~49(歳) | 2500 | 2000 | 3000以上 | 2600以上 |
50~69(歳) | 2500 | 2000 | 3000以上 | 2600以上 |
70以上(歳) | 2500 | 2000 | 3000以上 | 2600以上 |
妊 婦 | ー | 2000 | ー | ー |
授乳婦 | ー | 2200 | ー | ー |
参考=日本食品標準成分表2015年版(七訂)
- 【目安量】=十分な科学的根拠が得られず、設定した摂取量ですが、一定の栄養状態を維持するのに十分な量であ り、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
- 【目標量】=生活習慣病の予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量。
カリウムを効率よく摂取する調理法
カリウムは、多くの食材に含まれるため、通常の食事で不足する心配はほとんどありませんが、茹でるなどの調理過程で損失されやすく、思っているほどは摂取できていません。
カリウム摂取には、茹でても調理損失が少ない根菜や豆類、いも類、あるいは生で食べられる果物がおすすめです。
【煮汁の味付けに注意】
野菜やいもなどの煮物は、煮汁にカリウムが溶け出ていると考えられるので、煮汁ごと食べたいものですが、同時に調味料に含まれるナトリウム(塩分)も摂ることになるので、健康のためには、薄味で味付けすることが大事です。
塩は粗塩・白糖は黒糖がおすすめ!
精製された食塩の成分が、ほぼナトリウムと塩素であるのに対し、粗塩には、カリウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。また、黒糖は白糖よりもカリウム、鉄、カルシウムなどが豊富です。
いずれも、摂り過ぎは肥満や高血圧を招くため、注意が必要ですが、適量を心掛ければカリウムの源になります。
カリウムが不足すると?
【ミネラルの働きと食材からの摂取ポイント】のまとめ
野菜、果物などに含まれる栄養素で代表的なのが、ビタミン・ミネラル・食物繊維です。
これらの栄養素は、微量でも他の栄養素を手助けしたり、体の機能を正常に保ったりなど体にとって重要な働きをしており、カリウムもその一つです。
当然ながら、カリウムだけで健康な体はつくれません。まんべんなく、いろいろな食材から栄養を摂ることが大事です。
- 参考=文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
- 参考=発行所:株式会社 永岡書店:図解でわかる!からだにいい食事と栄養の教科書
- 参考=発行所:高橋書店/あたらしい栄養学
- 参考=発行所:株式会社 学研プラス/知っておきたい栄養学