ほうれん草に含まれるβ-カロテンが老化防止に!
ほうれん草は、緑黄色野菜のなかでも、ビタミン類・ミネラル類をまんべんなく含む栄養豊富な野菜です。特に多く含まれるβ-カロテンは、皮膚や粘膜の健康を保つほか、抗酸化作用もあり、細胞の老化を防ぐ効果があります。
体の酸化による老化を防ぐためにも、β-カロテンが豊富な緑黄色野菜は、毎日しっかり摂取することが大事です。
※紹介している「ほうれん草」に関する健康効果等については、多くの情報の中から、「なるほど!・効果がありそう!」と思われたものを参考にしています。当然ながら個人的な見解もあり、体に与える影響については、個人差があること ご了承ください。
【ほうれん草の主な効果】
- 抗酸化作用
- 貧血予防
- 粘膜の保護
- 造血作用
ほうれん草 注目の栄養素
ほうれん草は、ビタミンC、葉酸、カリウム、β-カロテンなど緑黄色野菜の中でもトップレベルの栄養価です。このため、健康はもちろん美容やアンチエイジングにも活用したい野菜の代表的な存在になっています。
色素成分「ルテイン」が白内障を予防!
ほうれん草は、緑黄色野菜の中でもダントツにβ-カロテンの含有量が多く、抗酸化作用の強い野菜です。さらにはルテインも豊富です。
ルテインは目の老化予防に効果的なファイトケミカルであり、視力の回復効果も期待できます。また、網膜上に発生する活性酸素を消去して加齢による目の病気予防や水晶体上ではフィルター役となって白内障も予防します。
貧血予防に働く「鉄」が豊富!
ほうれん草には鉄分がいっぱいです。
鉄分の含有量は、肉や魚にかなわないとしても、調理することでカサが減り量を摂ることができます。しかもヘルシーで女性にはおすすめです。
鉄はビタミンCと一緒に摂ると吸収力が高まります。例えば、ほうれん草料理にレモンを添えたり、酸味のあるドレッシングを使うと効果的です。
「葉酸」が認知症の回避に働く!
葉酸は❝造血のビタミン❞とも呼ばれ、鉄と共に貧血の予防に役立ちます。ほうれん草には、その両者が含まれているため、より効果的といえます。
さらに、葉酸には、認知症の原因となる物質をつくりにくくする作用があるとされ、葉酸が不足すれば認知症リスクが高まるといわれています。
葉酸は日常的に摂っておくのがおすすめです。
≪ほうれん草 注目の栄養素=参考資料書籍≫
- Dr.クロワッサン体に効くやさいの大百科
(株士会社マガジンハウス/2017年5月25日発行)
ほうれん草の栄養を生かした食べ方
画像出典=ほうれん草-幸せのひとしな
ほうれん草は、血液には欠かせない鉄分や葉酸などが充実した緑黄色野菜のなかでも栄養価の高い野菜として知られています。しかし、調理方法によっては、せっかくの栄養素が消えてしまう場合があります。ほうれん草のもつ栄養を知り、調理することをおすすめします。
ほうれん草の選び方・保存方法
ほうれん草は、最近一年中出回るようになっていますが、本来の旬は寒い冬(11月~2月)です。夏よりも冬のほうが栄養価が高く、甘みが増して美味しさも充実しています。おひたしや炒め物もよいですが、冬なら豚薄切り肉といっしょに※常夜鍋などで楽しむのもいいですよ。
※常夜鍋(じょうやなべ)は、豚肉及びホウレンソウまたはコマツナ、ハクサイなどをさっと煮てポン酢で食べる鍋料理。常夜鍋の名は、毎晩食べても飽きないことが由来。
選び方
新鮮なものは葉先がぴんとしていてはりがあり、緑も鮮やかです。根の水分が蒸発しやすく、少し時間が経つと根の瑞々しさがなくなります。
全体的に水分が抜けているように見えたり、葉が黒ずんでいるものは避けましょう
【選び方ポイント】
- 葉先がぴんとしている
- 葉の緑が鮮やか
- 根の切り口が大きくて新鮮
- 茎の太さが適度で弾力がある
葉は大きめで葉脈がはっきりし、茎は太くてしっかりしているものを選んでください。根元の赤みが強いものが新鮮です。
保存方法
ぬらした新聞紙で包み、ビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で立てて保存します。長持ちさせるなら、硬めに茹で、冷水に取ってから水気をよくしぼり、ラップに包んで冷凍しましょう。このとき1回分ずつの大きさにカットしてから包んでおくと、おひたしや汁の実など、少し使いたいときに、凍ったまま調理できて便利です。煮立ったところで直接入れて使うことができます。
ほうれん草の調理ヒント
茹でてシュウ酸を除く
ほうれん草にはシュウ酸というアクの成分があります。シュウ酸は多量に摂取すると結石になりやすといわれていますが、さっと茹でて水にさらせばシュウ酸は流れ出てしまいます。
※最近はアクの少ない品種も出回っています。
参考動画:ほうれん草のゆで方
油でβ-カロテンの吸収率をアップ
ほうれん草は、β-カロテンが豊富です。β-カロテンは油といっしょに使うと体内での吸収率がアップします。油でさっと炒めたり、ドレッシングをかけたり、オリーブ油であえたりなど、手軽な調理でβ-カロテンを摂取できます。
サラダほうれん草なら生食
サラダほうれん草は生食用に水耕栽培されたものです。アクの成分が少ないので茹でる必要がなくそのまま食べられます。葉も小さめで茎も細く、柔らかいのが特徴です。
参考動画:水耕栽培で育てられるサラダほうれん草
ほうれん草の栄養成分(可食部100gあたり)
ほうれん草の総カロリー=20Kcal
【体に必要な三大栄養素の成分量】
ほうれん草に含まれるタンパク質=2.2g(100gあたり)
タンパク質は、筋肉や内臓、皮膚など、体の組織のほぼ全てをつくる主要な成分であり、また、エネルギー源としても、1gあたり約4Kcalを生み出します。酸素・ホルモン・免疫抗体の材料、栄養運搬物質などとしての役割を担う重要な栄養素です。
ほうれん草に含まれる脂質=0.4g(100gあたり)
脂質は、1gあたり9Kcalと、三大栄養素の中で最も高いエネルギーを生み出す栄養素です。細胞膜や神経の構成成分で、脂溶性(しようせい)ビタミンの吸収を助ける働きや皮膚、粘膜の健康を保つ働きなどもしています。ただし、摂り過ぎると脂肪として蓄えられるので、注意が必要です。
ほうれん草に含まれる炭水化物=3.1g(100gあたり)
炭水化物は、体や脳を動かし、生命を維持するエネルギー源として利用される栄養素で、1gあたり約4Kcalを生み出します。糖質と食物繊維を合わせて、炭水化物といいます。
ほうれん草のミネラル
カリウム=690㎎(100gあたり)
カリウムは、細胞内液に多く、細胞外液に多いナトリウム(主に塩分)と互いに作用しながら細胞の機能を正常に保っています。また、ナトリウムの排出を促し、血圧を下げる作用があるので、高血圧予防に効果的です。
【カリウム摂取のコツ】
カリウムは、茹でたり煮たりすると流れ出てしまうので、フルーツのように生で食べられる食品のほうが効率よく摂取できます。
カルシウム=49㎎(100gあたり)
カルシウムは、体内のミネラルの中で、もっとも多く含まれており、その内99%が骨や歯に存在しています。残りの1%は血液や体液中に含まれています。血液中のカルシウム濃度は一定量に保たれていますが、濃度が下がると骨から溶けだします。
【カルシウム摂取のコツ】
ビタミンDは、カルシウムが骨に吸収されるのを促す働きがあるため、いっしょに摂取すると効果があります。
マグネシウム=69㎎(100gあたり)
マグネシウムは、体内ではカルシウムと共に約60%が骨に存在していて、残りは筋肉や血液などに含まれており、「カルシウムが骨を形成するのを助ける」「筋肉の収縮を調整」「血圧の上昇を抑える」など、様々な働きをしています。
【マグネシウム摂取のコツ】
玄米や胚芽精米のごはんで、多く摂取することができます。
鉄=2㎎(100gあたり)
体内にある鉄のうち、約70%は血液中に存在し、赤血球のヘモグロビンを構成しています。(ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ働きがあります)残りの約30%の鉄は、肝臓・骨髄などに貯蔵されていて、血液中の鉄が不足したときに血液中に出て補給される仕組みになっています。
【鉄 摂取のコツ】
ビタミンCは、鉄の吸収を促すので、いっしょに食べると吸収がよくなります。また、タンパク質も鉄の吸収をよくする成分なので、合わせて食べるとよいです。
銅=0.11㎎(100gあたり)
体内の銅の約半分は、骨や筋肉、血液中にあります。残りは肝臓などに存在しています。銅は、鉄がヘモグロビンを合成する際に必要なので、不足するとヘモグロビンが作れず、貧血を起こしてしまいます。また、多くの酵素の構成成分でもあります。
【銅 摂取のコツ】
鉄が足りていても、銅が不足していると、ヘモグロビンがうまく合成できません。どちらもしっかりと摂取することが大切です。
ほうれん草のビタミン
ビタミンA(β-カロテン当量)=4200㎍(100gあたり)
β-カロテンは、色鮮やかな緑黄色野菜などに多く含まれる※カロテノイドの一種で、強力な抗酸化力を持つ栄養素です。体内では必要量に応じてビタミンAに変換され、ビタミンAとしても効果を発揮します。人体の粘膜や皮膚、免疫機能を正常に保ったり、視力を維持するために必要不可欠な成分です。
※カロテノイドは、動植物が持つ、自然界に存在する黄色や赤色の色素の総称で、600種類以上存在するといわれています。特徴として強力な抗酸化力を持ち、活性酸素を除去する力に優れています。また、眼病や生活習慣病などをはじめとする疾病の予防に効果的な栄養素として知られています。
【β-カロテン摂取のコツ】
植物性食品に含まれるカロテン類は、油に溶けることで吸収率がアップします。油で炒めたりドレッシングをかけたりするとよいです。
ビタミンE(α-トコフェロール)=2.1㎎(100gあたり)
ビタミンEは、脂溶性ビタミンの一種で、強い抗酸化作用があり、細胞膜の酸化を抑制し、細胞の老化を防ぎます。毛細血管に働きかけて血行をよくしたり、新陳代謝を促したりする働きもあります。
【ビタミンE摂取のコツ】
ビタミンA・Cを含む食品といっしょに摂取すると、抗酸化作用がさらにアップします。
ビタミンB1=0.11㎎(100gあたり)
ビタミンB1は、炭水化物がエネルギーに変わるときに必要な水溶性ビタミンです。不足すると代謝がうまくいかず、乳酸などの疲労物質が蓄積されて、疲労や筋肉痛の原因になります。脳の神経や手足の末梢神経の働きにもかかわってきます。
【ビタミンB1摂取のコツ】
ビタミンB1は、「ニンニク」「ネギ」「タマネギ」「ニラ」と、いっしょに摂取すると吸収がよくなります。
葉酸=210㎍(100gあたり)
葉酸は、ビタミンB群の一種で、赤血球の生成を助け造血を促すビタミンです。胎児の細胞を作り出す際にも必要なため、妊娠の前後は多くの葉酸が必要です。
【葉酸 摂取のコツ】
葉酸は光や熱に弱いので、放っておくと酸化してしまいます。新鮮なうちに食べることが一番です。
ビタミンC=35㎎(100gあたり)
ビタミンCは、コラーゲンというタンパク質を合成する際に関わる、水溶性ビタミンです。コラーゲンは皮膚や骨を強化する働きがあります。また、強い抗酸化作用があり、活性酸素の働きを抑えたり、生活習慣病の予防に役立つ働きをしたりします。
【ビタミンC 摂取のコツ】
ビタミンCは、水につけたり茹でたりすると、どんどん失われてしまいます。洗ったり茹でたりは短めにします。ビタミンCは体内に蓄積されないので、毎日補給したい栄養素です。
ほうれん草の食物繊維
ほうれん草に含まれる食物繊維=2.8g(100gあたり)
水溶性食物繊維 0.7 g |
不溶性食物繊維 2.1 g |
食物繊維は、腸内環境をよくし、生活習慣病を予防します。不足すると便秘になりやすくなります。また、腸内環境が悪化することで血糖値やコレステロール値の上昇などが生じることがあります。
【食物繊維 摂取のコツ】
生のままでは食べきれない量の野菜でも、加熱するとかさが減って食べやすくなります。『※水溶性食物繊維』『※不溶性食物繊維』 それぞれの役割があるので、いろいろな食品から摂取するとよいです。
※(水溶性食物繊維の特徴)
- 人体に有害な物質の吸収を妨げ、便として排出させる。
- ブドウ糖の吸収速度を遅くし、食後の急激な血糖の上昇を防ぐため、糖尿病の予防効果があります。また、コレステロールの吸収を抑制するため、動脈硬化の予防。ナトリウムを排除して血圧を下げるため、高血圧の予防効果があります。
- 野菜、芋、豆等に多く含まれます。
※(不溶性食物繊維の特徴)
- 水に溶けず、水分を吸収してふくれ、腸壁を刺激して便の排泄を促進させるため、便秘の予防になります。
- 不溶性食物繊維の多い食品はよく噛む必要があるため、食べすぎを防ぎ、歯茎や顎を強くします。
- 豆類に多く含まれます。
ほうれん草の栄養は老化防止に効果あり!
【野菜の効能と食べ方】のまとめ
年齢50歳前後の方なら、ほうれん草といえば、アニメ漫画の「ポパイ」を連想するのではないでしょうか。子供の頃、ピンチになると、ほうれん草を食べてパワーアップして、闘うポパイの姿を見て、ほうれん草は魔法の食べ物だと思っていました。ポパイのようなパワーアップは無理ですが、ほうれん草は、日々健康に生きるための、魔法の食べ物かもしれませんね!
≪参考資料≫
- 参考:七訂 食品成分表 2016
- 参考:カロリーSlism-栄養成分/カロリー計算
- 参考:からだに効く!野菜の新図鑑/発行所:株式会社 宝島社
- 参考:わかさの秘密
- 参考:Dr.クロワッサン体に効くやさいの大百科
(株士会社マガジンハウス/2017年5月25日発行)