スイカ栽培の肥料について(野菜づくりの施肥量と元肥・追肥の与え方)

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スイカ栽培の肥料/普通化成・化学・有機質の施肥量管理!

スイカに限らず野菜を上手に育てるには、野菜の種類に合った施肥管理が大切です。
当サイトでは、施肥量を、3タイプに分けて紹介しています。

スイカづくりの参考になれば幸いです。

【スイカは野菜⁉】

園芸関係の学会や報告文では、1年生及び多年生の草本(やわらかい茎の植物)になる実は“野菜”、永年生の樹木になる実は“果物”と決められています。つまり、スイカは1年生の草本になる実なので野菜に分類されます。しかし、青果市場では果物として扱われ、食品成分表においても果実類として果物に分類されています。
市場の分け方は消費者の側に立って、消費される形態に合わせて分類しており、スーパーマーケットでも、スイカは果物売場に並びます。同じように、メロンやイチゴも野菜園芸に携わっている人にとっては野菜と定義されます。

スイカ栽培の施肥量

スイカ栽培の土づくり元肥追肥の施肥量を以下の3タイプに分けて表示しています。

  • 普通化成肥料のみを使う場合
  • 化学肥料+普通化成肥料を使う場合
  • 化学肥料+有機質肥料を使う場合

【施肥量の条件について】

施肥量は、気候や土質によっても変わってきます。紹介する施肥量は、一般地(関東地方南部を基準)の有機物を多く含む土壌で野菜を作る場合の目安です。また、土作りでは、この表にある堆肥の他、作物に合った土壌のpHになるように、必要に応じて、石灰資材を施用することが必要です。


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スイカに与える3タイプの施肥量

【4月下旬定植、7月上旬~下旬収穫の場合】

必要な全肥料分(g/㎡) N=15・P=20・K=15
畑に施す堆肥と肥料の量(㎡当たり)
土づくり 元 肥 追 肥
普通化成肥料
(8・8・8)限定
植物質堆肥
=2kg
普通化成
=63g
1~2回目
普通化成=63g
普通化成(8・8・8)は、手軽で簡単、初心者にも向いています。ただし、野菜が必要とする肥料分は必ずしも三要素が同量ではないので、不足する成分や、逆に過剰となる成分がでることになります。
土づくり 元 肥 追 肥
化学肥料
+化成肥料
植物物質堆肥
=2kg
  • 普通化成
    =63g
  • 過石
    =88g

1~2回目

  • 硫安=24g
  • 硫加=10g
単肥と普通化成(8・8・8)を組み合わせて使う場合です。無駄のない合理的な施肥が可能になります。
土づくり 元 肥 追 肥
化学肥料
+有機質肥料
植物質堆肥または
牛ふん堆肥
=2kg
  • 油粕=40g
  • 骨粉=40g
  • 魚粕=30g
  • 過石=69g
  • 硫加= 9g
1~2回目

  • 硫安=24g
  • 硫加=10g

地力が十分ついていない畑で、いきなり有機質肥料を使うと、分解が遅れて肥料切れを起こしたり、逆に保肥力がないため、肥焼けを起こしたりしがちです。そこで、有機栽培への過渡期には、元肥は有機質肥料を中心にし、すぐ効かせたい肥料には化学肥料を使うこの方法がおすすめです。

【上記表の共通事項/肥料成分】

  • 必要な全肥料分(g/㎡)/ N=15・P=20・K=15
  • 硫安(N=21)
  • 過石(P=17)
  • 硫加(K=50)
  • 油粕(N・P・K=5・2・1)
  • 骨粉(N・P・K=3・14・0)
  • 魚かす(N・P・K=6・6・1)

スイカ栽培/施肥のポイント

鞍つき畝をつくり、元肥を鞍つき畝の底部分に入れる。
追肥は、つるが伸びだしたときに1回目、実が野球ボール大になった頃に2回目を施します。
窒素が多いと、茎葉ばかりが伸びて実がつきにくくなります。
着果後、吸肥量が急増するので、この時期の追肥は重要です。

鞍つき畝】

ウリ科は湿気に弱く、特に梅雨時に畝が雨で水に浸かったりすると1日で萎れてしまいます。
全体を高畝にすると、土量の関係で十分な畝幅がとれません。したがって“鞍つき畝”にします。また、ウリ科は つるが延びるのと同じくらい根も伸びるので、堆肥は鞍つきの下まで全体に施します。

【鞍つき畝の作り方】

ウリ科のスイカやカボチャなどを植えつけるときには、「平畝」でも「高畝」でもなく「鞍つき」という円錐形の山をつくります。


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  1. 直径30cm、深さ30cmの穴を掘ります。
  2. 穴の中に元肥を施します。
  3. 土を穴に埋め戻します。
  4. 直径40cm、高さ20cmの円錐形になるように土を盛り上げます。
  5. 円錐のてっぺんを、手で平らにならします。

野菜に与える元肥と追肥

【元肥と追肥に分けて施す!】

栽培期間中に必要とする肥料の量(全必要量)は、作物ごとに決まっています。これを一度に施すと、肥焼けによって根が傷むうえに、吸収できなかった分が無駄になり、地下水など環境中に流れ出してしまいます。そのため、肥料は元肥追肥に分けて施します。ただし、コマツナやホウレンソウなどの軟弱野菜は、栽培期間が短く、必要とする肥料の量もさほど多くないので、元肥だけで育てるのが一般的です。

野菜づくり/元肥の施し方!

元肥は作付前に畑に施します。石灰資材の投入から一週間間をあけ、化学肥料の場合は作付の4~5日前、有機質肥料の場合は1~3週間前に施します。

肥料の施し方には、作物の下に施す『溝施肥』と、畝全体に混ぜ込む『全面施肥』があります。それぞれ向いている作物があるので、使い分けてください。

【溝施肥が向いている野菜】=栽培期間が長いトマトやナスなどの果菜類、比較的栽培期間が長いキャベツやハクサイなど。

【前面施肥が向いている野菜】=根をまっすぐに伸ばしたいダイコンやニンジンなどの根菜類、栽培密度の高いコマツナやホウレン草などの軟弱野菜など。

野菜づくり/追肥の施し方!

作付後、1ヶ月ほどで元肥の肥料効果が切れてくるので追肥を開始します。追肥は窒素カリを施しますが、作物の様子をみながら、1ヶ月に1回を目安に、作物に合った量の追肥を施していきます。

【化学肥料の追肥】

化学肥料を使うなら、単肥を組み合わせるか、NK化成(窒素とカリのみを含む化成肥料)を使うとよいでしょう。三要素を含む化成肥料も使えますが、その場合、追肥で施したリン酸が効くのは次作以降になります。

【有機質肥料の追肥】

追肥は、早く効果が現れる必要があるので、有機質肥料を使うなら、※ボカシ肥などの発酵済みのものや、発酵鶏ふん、魚かす、草木灰などを利用します。さらに、分解を早めるために、土とよく混ぜることが大切です。

※ボカシ肥=鶏ふんや油粕などの有機物を発酵させて、ガス害などの心配をなくし、早く効くようにした肥料。

【追肥の施す場所】

追肥の施す場所は、根が伸びる先です。地上部の外周あたりまで、根は伸びているので、それを目安に、畝の肩や株間、通路などに施します。マルチを張っているときは、マルチを剥がして畝の肩に施すか、通路に施してください。

単肥の使い方!

三要素(窒素・リン酸・カリ)のうち、窒素とカリは全必要量の半分を元肥で施します。リン酸は、土の中を移動しにくく、追肥で土の表面に施しても根が張っている地中まで届かないので、元肥で全量を施します。この、基本施肥に従って単肥を組み合わせて使うと、必要な施肥が簡単に行えます。

【三要素が等量の化成肥料を使う場合】

必要なリン酸を、三要素等量の化成肥料だけで、賄おうとすると、窒素とカリが多くなりすぎるので、単肥『過リン酸石灰』を併用します。

【化成肥料限定で、正確な施肥をする場合、以下のようにするとよいでしょう。】

施肥量は、植物の生育に最も影響があると考えられる「窒素」の量で計算します。そのため、元肥では「リン酸」が不足するので、その分を過リン酸石灰で補います。また、「窒素」よりも「カリ」の必要量が少ない野菜では、「カリ」が過剰になります。そこで、ときどき追肥で化成肥料を使うのを止め、「硫安」と「硫加」を組み合わせて「カリ」の量を調整します。

【有機質肥料を使う場合】

肥料ごとに、含まれる成分と成分量が異なるので、計算をして、必要量を算出し単肥を組み合わせます。

野菜づくり/三要素の元肥と追肥の分け方

【窒素の使い方】

  • 元肥=半分を元肥で施します。施せるのは、成分量10~15g/㎡までです。それ以上になると、肥焼けなどの障害が起きます。
  • 追肥=栽培期間に合わせて、1~3回程度に分けて施します。1回当たりに施せるのは、成分量5~10g/㎡までです。

【リン酸の使い方】

  • 全量を元肥で施します。

【カリの使い方】

  • 元肥=半分を元肥で施します。
  • 追肥=栽培期間に合わせて、1~3回に分けて施します。

スイカ栽培の肥料について
(野菜づくりの施肥量と元肥・追肥の与え方)のまとめ

一口に肥料といっても、様々な種類があり、効果や働きも違います。また、肥料と同じように、作物に欠かせない資材に堆肥があります。どちらも作物を健康に育てるために、土に施すものですが、その働きは違います。

肥料『植物のための食事』として、また、堆肥『植物のためのより良い環境づくり』に役立ちます。ただし、草木や野菜はそれぞれ、『食べたい肥料』『住み着きたい環境』が異なりますので、よく調べて育てることが大事です。

※肥料の使用方法は、植物の生態や栽培環境により異なります。また、個人的な見解・解釈もありますので、事前によく調べる必要があります。

参考:隔月刊|やさい畑|2015秋号|光の家協会(JAグループ) 発行


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