熔成リン肥は土壌改良に最適な肥料!
熔成リン肥は、化学肥料の一種です。初めて畑として使う場所の土壌改良に使用しますが、おもに火山灰土壌の土壌改良に用いられます。アルミナを多く含む火山灰土壌では、リン酸が吸着・固定されるため、リン酸が欠乏しやすいですが、熔成リン肥は、ゆっくり溶けだす『く熔成リン酸』を含んでいるので、リン酸欠乏の心配があまりないリン酸肥料です。
熔成リン肥(熔リン)肥料の特徴
【熔成リン肥 肥料 成分】
- リン酸(P)=20(く溶性)
- アルカリ分 =50
- 苦 土 =15
- ケイ酸 =20
熔成リン肥は、植物の根や土壌微生物が出す有機酸によって、ゆっくり溶けだす『く熔成リン酸』を20%ほど、含んでいます。ですから、土づくりの段階で、土に混ぜておくと長く効かせることができます。また、植物へのリン酸吸収をよくする、苦土(マグネシウム)も含んでいるので、土づくりには効果的です。
溶成リン肥は、アルカリ分を50%含むので、土壌のpH調整効果もあり、酸性土壌で活性化するアルミナの力を弱めることにも役立ちます。
熔成リン肥 肥料の使い方
商品参考画像=朝日工業株式会社
熔成リン肥は、元肥を施す3~4週間前に、200~300g/㎡をまき、土とよく混ぜます。そのさい、リン酸は土の中を移動しにくいので、深く耕して土の下の方まで入れてください。
※熔成リン肥は、ガラス質のため、素手で触るとかぶれるので注意してください。
熔成リン肥のリン酸は、すぐに効果は現れませんので、土づくりとは別に、元肥に過リン酸石灰など、リン酸肥料を施す必要があります。
※熔成リン肥は、苦土石灰と同程度のpH調整力があるので、石灰資材を施す必要はありません。
適正な土壌pH
作物の生育には、それぞれ適したpHがありますが、ほとんどの野菜はpH6.0~6.5 の 弱酸性を好みます。ただし、ホウレンソウは、pH6.3~7.0 とやや高め、ジャガイモはやや低いpHを好みます。
適正ph | 品 目 名 |
6.3~7.0 | ホウレンソウ・エンドウ など |
6.0~6.5 | リーフレタス・コマツナ・ミズナ・ネギ・シュンギク など多くの野菜 |
5.5~6.0 | ジャガイモ・ニンニク など |
【適正phでないとどうなる?】
一般的に、pHが 5.0 を下回るような低pHの土壌では、カリウム、マグネシウム(苦土)、カルシウム(石灰)などの欠乏症(下葉枯れなど)を起こしやすくなります。反対に、pHが 8.0 を超えるような高pHの土壌では、鉄、マンガン、亜鉛などの微量要素欠乏(葉 色が淡くまだらになるなど)の症状を起こしやすくなります。
ホウレンソウをpHが低い(概ね 5.5 以下)土壌で栽培すると、発芽はしますが 大きくならず黄化します。一方、ジャガイモをpH6.0 を超えるような高いpHの土壌で 栽培すると、「そうか病」の発生を助長しますので、それぞれの野菜に合った土壌で栽培 することが重要です。
参考引用:http://www.pref.fukuoka.lg.jp/
肥料の上手な施し方
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画像出典:家庭菜園で有機無農薬栽培
元肥と追肥に分けて施す!
栽培期間中に必要とする肥料の量(全必要量)は、作物ごとに決まっています。これを一度に施すと、肥焼けによって根が傷むうえに、吸収できなかった分が無駄になり、地下水など環境中に流れ出してしまいます。そのため、肥料は元肥と追肥に分けて施します。ただし、コマツナやホウレンソウなどの軟弱野菜は、栽培期間が短く、必要とする肥料の量もさほど多くないので、元肥だけで育てるのが一般的です。
元肥の施し方!
元肥は作付前に畑に施します。石灰資材の投入から一週間間をあけ、化学肥料の場合は作付の4~5日前、有機質肥料の場合は1~3週間前に施します。
肥料の施し方には、作物の下に施す『溝施肥』と、畝全体に混ぜ込む『全面施肥』があります。それぞれ向いている作物があるので、使い分けてください。
単肥の使い方!
三要素(窒素・リン酸・カリ)のうち、窒素とカリは全必要量の半分を元肥で施します。リン酸は、土の中を移動しにくく、追肥で土の表面に施しても根が張っている地中まで届かないので、元肥で全量を施します。この、基本施肥に従って単肥を組み合わせて使うと、必要な施肥が簡単に行えます。
【三要素が等量の化成肥料を使う場合】
必要なリン酸を、三要素等量の化成肥料だけで、賄おうとすると、窒素とカリが多くなりすぎるので、単肥『過リン酸石灰』を併用します。
【有機質肥料を使う場合】
肥料ごとに、含まれる成分と成分量が異なるので、計算をして、必要量を算出し単肥を組み合わせます。
画像出典:家庭菜園で有機無農薬栽培
追肥の施し方!
作付後、1ヶ月ほどで元肥の肥料効果が切れてくるので、追肥を開始します。追肥は窒素とカリを施しますが、作物の様子をみながら、1ヶ月に1回を目安に、作物に合った量の追肥を施していきます。
【化学肥料の追肥】
化学肥料を使うなら、単肥を組み合わせるか、NK化成(窒素とカリのみを含む化成肥料)を使うとよいでしょう。三要素を含む化成肥料も使えますが、その場合、追肥で施したリン酸が効くのは次作以降になります。
【有機質肥料の追肥】
追肥は、早く効果が現れる必要があるので、有機質肥料を使うなら、※ボカシ肥などの発酵済みのものや、発酵鶏ふん、魚かす、草木灰などを利用します。さらに、分解を早めるために、土とよく混ぜることが大切です。
※ボカシ肥=鶏ふんや油粕などの有機物を発酵させて、ガス害などの心配をなくし、早く効くようにした肥料。
【追肥の施す場所】
追肥の施す場所は、根が伸びる先です。地上部の外周あたりまで、根は伸びているので、それを目安に、畝の肩や株間、通路などに施します。マルチを張っているときは、マルチを剥がして畝の肩に施すか、通路に施してください。
画像出典=畑づくり:ジッチのミニ菜園
まとめ
一口に肥料といっても、様々な種類があり、効果や働きも違います。また、肥料と同じように、作物に欠かせない資材に堆肥があります。どちらも作物を健康に育てるために、土に施すものですが、その働きは違います。
肥料は『植物のための食事』として、また、堆肥は『植物のためのより良い環境づくり』に役立ちます。ただし、草木や野菜はそれぞれ、『食べたい肥料』や『住み着きたい環境』が異なりますので、よく調べて育てることが大事です。
※肥料の使用方法は、植物の生態や栽培環境により異なります。また、個人的な見解・解釈もありますので、事前によく調べる必要があります。
参考:隔月刊|やさい畑|2015秋号|光の家協会 発行
コメント
使用目的をご説明されたページを読ませていただきありがとうございました。
今後も何かとお世話になりますけど宜しくお願い致します。
当サイトを一読いただき、ありがとうございます。また、コメントありがとうございます。
肥料については、専門雑誌等を参考に個人的な見解を交えた、一般的な説明や紹介に終始しています。ですから、細かい使用方法については、個別に判断していただかなくてなりません。
肥料については、他のサイトも参考にしながら、また、肥料メーカーに問い合わせるなどして、判断していただければと思います。
せっかくのコメントをいただきながら、愛想のない文面で申し訳ありませんが、以上を返信とさせて頂きます。