半日陰で育つツツジの特徴や育て方を紹介!
春の花の時期になると、ガーデニングとして多くの家庭で、ツツジが植えられていることに気づきます。また、ツツジは道路や公園などの公共施設でもよく利用される低木として親しまれています。ツツジは日本原産の種類を中心に改良されているので、放っておいても枯れませんが、手入れが行き届くと、見違えるような美しい花を咲かせます。
【半日陰とは】
草花の栽培条件として『半日陰』という表現がありますが、『半日陰』のはっきりとした定義はなく、日照条件もいろいろな表現がされています。しかし一般的な『半日陰』の日照条件としては、午前中の3~4時間ほど日が当たる明るい場所か、日中に木漏れ日が当たっている状態 としているようです。
目次
ツツジ(躑躅)の特徴と育て方
ツツジには、1年中葉をつけている『常緑性ツツジ』と冬に葉を落とす『落葉性ツツジ』があります。比較的、常緑性ツツジのほうが栽培は簡単です。
落葉性ツツジは、やや高い山地に自生するものも多く、デリケートで剪定にも気をつける必要があります。しかし、昔は栽培が難しいものの代表だった「落葉性のヤシオツツジ系」の品種でも、タネから育てて生産されたものは丈夫で、家庭でも十分栽培出来ます。
【ツツジ】
- 性 質:常緑/落葉低木
- 分 類:ツツジ科ツツジ属
- 樹 高:50㎝~200㎝
- 花 色:白,赤,ピンク,紫,複色
- 原産地:日本・中国を中心としたアジア東部
- 開花期:4月~5月
主なツツジの種類
【常緑性ツツジ】
『オオムラサキ』『キシツツジ』『キリシマツツジ』『クルメツツジ』『ケラマツツジ』『サキシマツツジ』『サツキ』『シロリュウキュウ』『セイシカ』『ヒラドツツジ』 『マルバサツキ』『ミヤマキリシマ』
【半常緑性ツツジ】
『チョウセンヤマツツジ』『モチツツジ』『ヤマツツジ』
【落葉性ツツジ】
『アカヤシオ』『アケボノツツジ』『エクスバリーアザレア』『オンツツジ』 『クロフネツツジ』『ゴヨウツツジ(シロヤシオ)』『ミツバツツジ類』 『ムラサキヤシオ』『レンゲツツジ』
ツツジ栽培の歴史
ツツジ類の観賞や栽培の歴史は長く、万葉集にも詠まれており、鎌倉・室町時代には庭園に植栽されるなど、古くから愛好されていました。
江戸時代には「きり嶋屋伊兵衛」といわれた「伊藤伊兵衛三之丞」により『キリシマツツジ』が、久留米藩士の「坂本元蔵」により『クルメツツジ』が作出され、大流行しました。
サツキは江戸時代中期に栽培が始まったとされ、爆発的な人気が出て、品種も増えました。
参考引用:花木の栽培テクニック:ツツジ類
ツツジ(躑躅)とサツキ(皐月)の違い
ツツジとサツキの違いを、写真だけで判断することは、難しいです。一番の違いは、開花時期が違うことですが、ツツジの開花期は4月~5月の春先にかけて、サツキは5月~6月頃で、開花期が重なり合う時期は、実物を見ても判断が難しいです。
どちらも、ツツジ科ツツジ属であるため、花姿は似て当然ですが、ツツジは花色が豊富です。一方サツキの花色は、紅赤色がほとんどです。また、よく観察しないと判りませんが、おしべの本数に違いがあります。サツキのおしべは5本程度ですが、ツツジは5本~10本あります。
【見分けるポイント】
- 花が散ってから新芽が出るのがツツジ、新芽が出てから花が咲くのがサツキ
- 葉が出るよりも先に花が咲くのがツツジ、葉が出てから花が咲くのがサツキ
- 新芽や葉に生えている細かい毛が緑色なのがツツジ、茶色なのがサツキ
- 4月中旬~5月上旬に開花するのがツツジ、5月中旬~6月中旬に開花するのがサツキ
ツツジの育て方
色鮮やかな花を木いっぱいに咲かせるツツジの仲間。日本はもちろん、欧米でも春の庭の彩りに欠かせない花木となっています。
基本的に丈夫で育てやすく、ポイントさえ押さえれば毎年たくさんの花が楽しめます。
栽培場所
ツツジは、午前中に日が当たる、西日の当らない半日陰の場所が適しています。ただし、西日にこだわりすぎて、極端な日陰に植えてはいけません。西日が当たるといけないのは、地上部ではなく根のある地面の部分なので、わらやバークを敷くなどすれば問題ありません。
ツツジを鉢植えにする場合、通年屋外で管理しますが、夏は半日陰に、そのほかの時期は日当たりのよい場所に置きます。冬は、乾燥した寒風に当たらない場所へ移動させてください。
ツツジの仲間は連作を嫌います。前にツツジの仲間を植えていた場所に 植え付けると、連作障害を起こして生育が悪くなります。違う場所に植えるか、同じ場所に植える場合は土を入れ替えましょう。
用 土
ツツジは、腐植質に富んだ水はけのよい場所が適しています。また、酸性土壌を好むので、植え付け時に酸度未調整のピートモスを混ぜ込むとよいです。
ツツジを鉢植えにする場合、赤玉土小粒4、鹿沼土小粒3、酸度未調整のピートモス2、バーミキュライト1の配合土などが適します。
肥料・水やり
【肥 料】
ツツジは鉢植え、庭植えともに、花後の5月~6月と、株の充実する9月下旬、休眠期の1月に、緩効性化成肥料や固形の油かすを施します。
【水やり】
ツツジは根が細く、地表近くに根を張るため土壌の極端な乾燥に弱い性質です。
鉢植え、庭植えともに夏の高温期には乾かさないように注意し、朝または夕方に水やりをします。ほかの季節は乾いたら水を与えます。
植え付け
ツツジを庭植えする場合、根鉢の倍以上の大きさの植え穴を掘り、腐葉土やピートモスを混ぜて、深植えにならないように植えつけてください。鉢植えにした場合、2年に1回を目安に植え替えましょう。
【常緑性の場合】
常緑性ツツジは、春から秋までの暖かい時期に植え付けます。ただし、 新芽が伸びて展開する開花期と、夏の期間は避けてください。また、一般の花木とは 異なりますが、土をよく落としてから植え付けてください。根が細かいので多少切れても傷みの心配が少なく、連作障害の原因となる古土が なくなることでさらによい根が出てきます。
【落葉性の場合】
落葉性ツツジは、葉を落としている冬の間に植え付けます。常緑性ツツジほど根が細かくないので、地掘り苗(根巻き苗)はそのままに、ポット苗は根鉢をひと回り崩す程度にして植え付けます。
剪定方法
「常緑性ツツジ」と「落葉性ツツジ」とでは、剪定の時期も異なります。
【常緑性ツツジの剪定】
常緑性ツツジは、花後できるだけ早く刈り込むことをおすすめします。
ほとんどの常緑性ツツジは、※萌芽力(ほうがりょく)が強いため刈り込みができますが、適期以外に剪定すると、翌年花が付かなくなります。やむをえず適期以外に剪定する場合、徒長枝のような特に強く伸びた枝だけにしましょう。
※萌芽力(ほうがりょく)=草花や樹木を切った後の休眠芽(きゅうみんが)が伸びる力
6月下旬~8月上旬に新梢の先に花芽をつけます。したがって、夏以降の剪定は花芽を切り捨てることになり、翌年花が咲かない原因となります。
【落葉性ツツジの剪定】
落葉性ツツジの剪定は、落葉後の冬に行います。ただし、 落葉性ツツジは萌芽力(ほうがりょく)があまり強くなく、むやみに剪定すると樹が弱り、枯死する可能性もあります。
強く刈り込まず、混み合った枝や 伸びすぎた枝のみを間引き、自然樹形を生かすように剪定します。 また剪定ではないですが、花がら摘みも忘れずに行いましょう。
発生しやすい病害虫
【病気:もち病】
ツツジ類に多く見られる『もち病』に注意しま しょう。この病気は主に葉に発病し、焼いた モチのようにふくれます。始めは葉の表面が つやのある淡い緑色や黄緑色になり、やがて 表面に白い粉(胞子)をふきます。5~6月、8~9月に見られますが、特に雨が多い年に 発病しやすくなります。発症した葉などは、粉をふく前に摘み取って焼却します。
【害虫:ツツジグンバイ・ハダニ】
害虫で、特に多いのが『ツツジグンバイ』と『ハダニ』です。
どちらも4~10月に発生しますが、特に高温乾燥期に多く、主に葉裏について養分を吸い取ります。葉がかすり状に白っぽくなるので、見つけたら、市販の殺虫剤などを散布して駆除しましょう。
ツツジの花言葉
ツツジの花言葉=『節度』『慎み』など
ツツジの花が咲く頃は、春の新年度が始まる頃でもあります。新入学生や新社会人にとって、この時期、緊張の日々の連続だと思いますが、その時の純粋で新鮮な気持ちは、絶対に忘れないでほしいものです。
しかしながら、新しい生活も一年たつと、どうしても慣れが出て気が緩み、態度も横柄になり『節度』や『慎み』が薄れてきます。ある程度は、しょうがないことですが、新年度の始まりに咲くツツジを見るたびに、ツツジの花言葉を想い出し、今一度、初心に帰って、再スタートを心がけたいものですね!
ツツジの種類や育て方と花言葉
【半日陰に植える常緑低木のガーデニング】のまとめ
ツツジを見ると、まさに春ですね。その後に咲くサツキは、夏の訪れを感じさせます。
栽培されるツツジは、日本に自生する野生種をもとに改良されているので、いずれも栽培は容易です。また、鉢植えでも楽しむことができます。春の楽しみとして、自分専用のツツジを育ててみてはいかがでしょう。
※栽培方法、植物の生態については、環境により異なります。また、個人的な見解・解釈もありますので、栽培方法や生態については事前によく調べる必要があります。