家庭の果樹栽培
普段の暮らしの中で、もぎたての果実をそのまま味わえる果樹栽培。一般的にガーデニングは草花を楽しむものですが、食べて楽しめる果樹栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。ただし初心者の方が、いきなりの果樹栽培は難しいです。基礎的な知識を身につけ、各家庭に合った果樹を選定し栽培してください。
果樹栽培には受粉が必要
画像出典:川口観光果樹園
簡単に説明すると、花にも雄・雌があり受精しなければ実がなりません。一般的に花が咲かなければ果実が実らないのは当たり前で、受粉(雌が花粉を付着させること)しなければ果物の収穫はありえません。果樹の種類によって受粉の方法が違いますので、果樹選定は受粉の性質を理解したうえで判断してください。
(果樹受粉の方法は大きく分けて2通りあります。)
- 自家不結実性=自分の花の花粉では、実がつきにくい性質(受粉樹が必要)
- 自家結実性 =自分の花粉で受粉して実がなる性質
受粉方法
自然受粉:自然の風による風媒受粉やミツバチなどが蜜を吸いに来た時に受粉する虫媒受粉があります。どちらも、受粉樹を近くに置いて、受粉しやすい環境にします。
人工受粉:確実に受粉するために、人の手によって受粉させます。
- 自家結実性の場合めしべの先が光っている時に、綿棒や筆の先で花の中を回すように受粉します。
- 自家不結実性で受粉品種と花粉品種の開花時期が同じ場合、花粉を直接めしべに付けます。
- 自家不結実性で受粉品種と花粉品種の開花時期が異なる場合、あらかじめセロハン紙などに花粉を貯蔵しておき、綿棒か筆先に花粉を付け、受粉するめしべに付けます。
苗木選び・植え方
苗木を購入するときは、良い苗木を見分けられるかが大事です。
- 細い根が多いこと。
- 接ぎ木部分がしっかりしていること。
- 木肌に艶があること。
- 芽と芽の間隔が詰まっていること。
苗木の植え付けは落葉果樹なら11月~3月、常緑果樹なら3月~4月をめどに行うと最適です。日当たりと風通し、そして水はけの良い場所を選んでください。
(庭へ直植えの場合)
- 30㎝~50㎝四方の穴を掘ります。
※品種によりますが、土に苦土石灰を一握り加えます。(ブルーベリーは不要) - 苗木に付いた土をよく落とし、痛んだ根先はカットします。そのまま水を張ったバケツに苗木を入れ3時間~4時間吸水させます。
- 穴に化成肥料を混ぜた腐葉土を入れ、根が直接、肥料に触れないよう間土を入れ苗木を植込みます。このとき根はよく広がるように注意し、安定するよう支柱を立てます。
- 土を埋めたら周囲を盛り上げて、最後にたっぷり水をあたえます。
※接ぎ木部分は地表に出します。
※落葉果樹の苗木は3~4芽、残して切り詰めます。
(鉢植えの場合)
6号鉢にゴロ土を敷き、中粒の赤玉土と腐葉土を6:4の割合で入れます。
後は直植えの場合と同じ要領です。
育てやすい果樹
【落葉果樹】
ア ン ズ
樹高=3m以上
収穫期=7月
収穫までの年数=4~5年
イチジク
樹高=3m以上
収穫期=9~10月
収穫までの年数=2年
ウ メ
樹高=3m以上
収穫期=6月
収穫までの年数=3~4年
カ キ
樹高=3m以上
収穫期=10~11月
収穫までの年数=4~5年
キウイ
つる性
収穫期=11月
収穫までの年数=4~5年
ク リ
樹高=3m以上
収穫期=9~10月
収穫までの年数=4~5年
サクランボ
樹高=3m以上
収穫期=6月
収穫までの年数=2~4年
ス モ モ
樹高=3m以上
収穫期=7月
収穫までの年数=3~4年
ナ シ
樹高=3m以上
収穫期=8~11月
収穫までの年数=3~5年
ブ ド ウ
つる性
収穫期=8~9月
収穫までの年数=3~4年
ブル-ベリ-
樹高=1m
収穫期=8月
収穫までの年数=2~3年
モ モ
樹高=3m以上
収穫期=7~8月
収穫までの年数=3~4年
リ ン ゴ
樹高=3m以上
収穫期=9~11月
収穫までの年数=4~5年
【常緑果樹】
温州ミカン
樹高=2~3m
収穫期=9~12月
収穫までの年数=3~4年
ビ ワ
樹高=2~3m
収穫期=6月
収穫までの年数=3~4年
落葉果樹の育て方
【植える場所】
日当たりの良い場所に、鉢植えの場合は市販の培用土をを使って植えます。庭植えの場合は有機質の多い土壌が理想的ですが、落葉果樹は比較的適応力が強いのであまり土壌に、こだわらないのが特徴です。ただし、果樹によっては土壌の状態を改善する必要があります。
【受粉木が必要な種類】
アンズ・サクランボ・カキ・カリン・ブルーベリー・キウイ・クリ・スモモ・プルーン・ナシ・モモ(白桃系)・リンゴ など
※相性がありますので、それぞれ調べる必要があります。
常緑果樹の育て方
【植える場所】
日当たりの良い場所に植えます。特に冬場は寒害を受けやすいため、樹を寒冷紗で覆うなどの対策が必要です。また、水がたまる場所を苦手とするため、水はけの良い場所が最適です。土のも堆肥などの有機物を混ぜ込むといいでしょう。
【受粉木が必要な種類】
ハッサク・ヤマモモ・オリーブ など
※相性がありますので、それぞれ調べる必要があります。
摘果
一般的に、毎年果実がつきやすい樹の状態を保つため、果実1個につき葉20枚~25枚(小果実は約15枚)になるように果実を間引きします。品種によりますが、リンゴなどは中心の大きい実を残し、カキなどはヘタの大きい実を残すなど、さまざまですので、それぞれ調べる必要があります。
果樹ガーデニング初心者の基礎知識のまとめ
果樹を確実につけることが果樹栽培の魅力です。2年・3年と長い時間と手間をかけて実をつけるため楽しみもひとしをです。品種によりいろいろな知識を要しますが、調べて、検討し、実践してみてくださ。手間を惜しまなければ、必ず美味しい実が育ちます。