たけのこの栄養や食べ方を紹介!
特筆すべき栄養成分は、第六の栄養素といわれる食物繊維です。
たけのこの食物繊維セルロースは、水に溶けない不溶性で、腸内で水分を吸収して膨らみ、同時に腸内の老廃物や有害物質をいっしょに吸収して体外に排出する働きがあります。
こうした作用から、たけのこは大腸がん予防の強い味方となってくれます。また、コレステロールの吸収を妨げる作用もあり、動脈硬化が気になる方にもおすすめです。
さらに、体内の余分なナトリウムを排出して高血圧の予防に一役買ってくれる「カリウム」、骨の健康サポートや糖尿病予防の作用があるとされている「マンガン」など、体の機能を潤滑にしてくれる成分が充実しています。
ビタミン類は少なめですが、旬の春には、ぜひ味わいたい野菜です。
※紹介している「たけのこ」に関する健康効果等については、多くの情報の中から、「なるほど!・効果がありそう!」と思われたものを参考にしています。当然ながら個人的な見解もあり、体に与える影響については、個人差があること ご了承ください。
目次
たけのこ特徴と食べ方
たけのこは「古事記」に登場していることから、日本では古くから食べられていたようです。しかし、現在一般的に食べられている孟宗竹(もうそうちく)という種類が日本に入ってきたのは江戸時代のこと。
孟宗竹は18世紀に中国から琉球に伝わり、江戸時代中期に薩摩藩が栽培を始めたといわれています。
たけのこ種類
タケ類の種は、数百種類あるといわれています。しかし、そのうち食用にされているものは、孟宗竹・淡竹・真竹など、ほんの数種類です。
【孟宗竹/もうそうちく】
- 産地=九州・四国から東北南部。特に京都産が有名
- 旬=3月~5月上旬
- 特徴=皮には茶色の毛が生えている。大型で肉厚、身は白く柔らかい。えぐみは少ない方で、甘味を含んだ独特のうまみと歯ごたえがある。
【淡竹/はちく】
- 産地=九州や関西地方から北海道南部まで
- 旬=4月下旬~6月
- 特徴=皮の色は赤紫で先端が淡い緑色。身は薄くアクが少なくて味が淡白。
【真竹/まだけ】
- 産地=関西。特に京都に多い
- 旬=4月下旬~6月上旬
- 特徴=細めの筍で、皮にうぶ毛が無く、黒い斑点がある。身はやや硬め。アクが強めで苦みがあるが、歯ごたえがあって味が良い。
たけのこ選び方/保存方法
【選び方】
- 形はずんぐりしていて、ずっしりと重いものを選びます。
- 皮にツヤと湿り気があり、頭が黄色く開いていないものが新鮮なたけのこ。
- 頭の部分が緑色になったものは、陽にあたり育ちすぎて、えぐみが強く固くなっているので避けましょう。
- 根元の赤いイボイボは少ないものを選びましょう。(根元のイボイボは、小さく少ない方が、やわらかく美味しいと言われています。)
【保存方法】
たけのこは、鮮度が命。時間が経つとえぐみが強くなるので、すぐに茹でてアク抜きします。すぐに使わない場合は、水に浸して密封容器に入れ、冷蔵庫で保存しましょう。
たけのこのアク抜き=実は簡単!たけのこのアク抜き&保存のコツ|カゴメ株式会社
たけのこ豆知識 |
たけのこの皮には殺菌作用がある! その昔、お弁当のおにぎりは、たけのこの皮に包まれていました。 たけのこの皮は、通風性があるのに水は通しにくいという特性があり、食品を包むのに最適です。また、防腐効果の高い「サリチル酸」という成分が含まれているので、殺菌や防腐効果も期待できます。 先人の知恵には脱帽です。 |
たけのこ食べ方のヒント
≪採れたてをすぐに茹でて風味をキープ≫
収穫直後から、苦味やえぐみの成分が増え始め、食感もかたくなっていきます。
このえぐみ成分は、体内でカルシウムの吸収を妨げる作用があるので、栄養面からも、手に入れたらすぐに茹でましょう。
≪節の間に見かける白い物質は取り除かない≫
たけのこの節の間についている白い粉状の物質は、「チロシン」といわれるアミノ酸の一種で、脳や神経の働きを活発にし、記憶力や集中力を高め、老化防止などの効果が期待されている成分です。新鮮なうちに茹でて、取り除かずに、いっしょに調理してください。
≪旬の食材を組み合わせて季節感を楽しむ≫
季節感が薄くなった昨今ですが、たけのこだけは春限定です。
この季節に旬を迎えるワカメや木の芽などと合わせて調理し、食卓に季節感を添えましょう。
たけのこ栄養素・成分値
(可食部100gあたり)
たけのこ
|
若茎 生 | 若茎※1ゆで | |
エネルギー(kcal) | 26 | 30 |
水分(ℊ) | 90.8 | 89.9 |
たんぱく質(g) | 3.6 | 3.5 |
脂質(g) | 0.2 | 0.2 |
炭水化物(g) | 4.3 | 7.6 |
水溶性食物繊維(g) | 0.3 | 0.4 |
不溶性食物繊維(g) | 2.5 | 2.9 |
たけのこ
|
若茎 生 | 若茎※1ゆで | |
ナトリウム(㎎) | ※3Tr(微量) | 1 |
カリウム(㎎) | 520 | 420 |
カルシウム(㎎) | 16 | 17 |
マグネシウム(㎎) | 13 | 11 |
リン(㎎) | 62 | 60 |
鉄(㎎) | 0.4 | 0.4 |
亜鉛(㎎) | 1.3 | 1.2 |
銅(㎎) | 0.13 | 0.13 |
マンガン(㎎) | 0.68 | 0.55 |
ヨウ素(㎍) | 4 | ―(未測定) |
セレン(㎍) | 1 | ―(未測定) |
クロム(㎍) | 0 | ―(未測定) |
モリブデン(㎍) | 2 | ―(未測定) |
たけのこ
|
若茎 生 | 若茎※1ゆで | |
ビタミンA(㎍) (β-カロテン当量) |
11 | 12 |
ビタミンD(㎍) | ※2推定値0 | 0 |
ビタミンE(㎎) (α-トコフェロール) |
0.7 | 1.0 |
ビタミンK(㎍) | 2 | 2 |
ビタミンB1(㎎) | 0.05 | 0.04 |
ビタミンB2(㎎) | 0.11 | 0.09 |
ナイアシン(㎎) | 0.7 | 0.6 |
ビタミンB6(㎎) | 0.13 | 0.06 |
ビタミンB12(㎍) | ※2推定値0 | ※2推定値0 |
葉酸(㎍) | 63 | 63 |
パントテン酸(㎎) | 0.63 | 0.63 |
ビオチン(㎍) | 0.8 | ―(未測定) |
ビタミンC(㎎) | 10 | 8 |
成分、数値は日本食品標準成分表2015年版(七訂)による。
※1=「ゆで」は、調理の下処理として行い、ゆで汁は廃棄します。ざるにとって水を切る、または水にさらして絞る等の処理も含まれています。
※2=食品成分表の最小記載量の1/10未満、(ヨウ素、セレン、クロムおよびモリブデンは 3/10、ビオチンは4/10)または検出されなかったことを示す。
(文献等により含まれていないと推定される成分については測定していない場合が多い。しかし、何らかの数値を示して欲しいとの要望も強いことから、推定値として「0」と表示。)
※3=食品成分表の最小記載量の1/10以上含まれているが、5/10未満であるもの。
【記事作成にあたり参考にした書籍】
- 参考:知っておきたい栄養学(発行所:株式会社 学研プラス)
- 参考:からだに効く!野菜の新図鑑(発行所:株式会社宝島社)