半日陰で育つ常緑低木『西洋シャクナゲ』の育て方
西洋シャクナゲは、日陰を多彩に彩る常緑花木 として親しまれていますが、欧米で育成された園芸種などを総称して『西洋シャクナゲ(石楠花)』と呼びます。日本原産のシャクナゲより丈夫で花色など品種も多く、単植向きで、大株に育つと存在感があります。このため、芝庭などのアクセント樹木として利用されています。
【半日陰とは】
草花の栽培条件として『半日陰』という表現がありますが、『半日陰』のはっきりとした定義はなく、日照条件もいろいろな表現がされています。しかし一般的な『半日陰』の日照条件としては、午前中の3~4時間ほど日が当たる明るい場所か、日中に木漏れ日が当たっている状態 としているようです。
目次
西洋シャクナゲの特徴と育て方
画像出典:西洋シャクナゲ-めいすいの写真日記
シャクナゲは、自生している『日本シャクナゲ』とヨーロッパで改良された『西洋シャクナゲ』に大別されます。この『西洋シャクナゲ』は『日本原産のシャクナゲ』に比べると、花が大きく、花色もカラフルで数多くの品種があり、特に花が枝の頂点に咲く品種が美しく、満開の時期は見事な花を咲かせます。
【西洋シャクナゲ】
- 性 質:常緑低木
- 分 類:ツツジ科ツツジ属
- 樹 高:50cm~180cm
- 花 色:赤、紫、ピンク、白、黄
- 別 名:ロードデンドロン
- 原産地:原種はヒマラヤ地方を中心としたそのその周辺部
- 開花期:4月~6月
画像出典:神戸市立森林植物園:セイヨウシャクナゲ
花 名:アンナローズ
西洋シャクナゲの栽培方法
【育て方ポイント】
一般的に花木は、枝を整理するために剪定という枝を切る作業が必要となるが、シャクナゲに関しては、いい具合に均等に枝が伸びていくので、内側に伸びる細かい枝などをすこし整理するくらいで大丈夫です。
花後は花がらを早めに摘み取ります。花がらをつけたままにすると、果実(タネ)ができて、新しい枝が伸びるのが遅れ、花芽がつきにくくなります。
栽培場所
西洋シャクナゲは、根元に直射日光が当たると突然、生育障害を起こしてしおれてしまうことがあります。庭植えの場合、午前中に充分日が当たる場所か直射日光の当たらない半日陰の場所を選んで植えてください。
鉢植えの場合、夏は木漏れ日の下などが理想的ですが、あまり日陰になるような場所は避けてください。
花 名:バルカン
用土・肥料
【用 土】
西洋シャクナゲは、水はけのよい酸性土壌を好みます。
西洋シャクナゲを庭植えする場合、腐植質に富んだ、水はけのよい酸性土壌に植えつけます。水はけの悪い場所では、底に大粒の軽石やパーライトなどを5~10㎝のの厚さで敷き込み、酸度未調整※ピートモスと腐葉土をすき込みます。
西洋シャクナゲを鉢植えする場合、水もちがよい酸性土(pH5.0~6.0)が適します。
配合例として、赤玉土小粒4、酸度未調整※ピートモス3、鹿沼土小粒2、バーミキュライト1の配合土が適します。または、市販の山野草培養用土と赤玉土小粒の等量配合土がよいでしょう。
※ピートモスは湿地の水ゴケが泥炭化したもので、腐葉土と似た性質をもつ。酸性が強い分、有用微生物を活性化させる力は弱い。無菌なので室内園芸にもよく利用されます。
【肥 料】
肥料は寒肥として2月頃に、庭植えの場合、油粕主体の有機肥料を与えます。
鉢植えの場合、緩行性の化成肥料を与えます。
庭植え・鉢植えともに、花後のお礼肥として緩効性の有機肥料か化成肥料を与えます。
水やり
庭植えの場合、夏以外は基本的に水やりの必要はありませんが、夏の高温期に土壌が乾きすぎないように、朝か夕方に葉水を兼ねてたっぷりと与えます。冬に乾燥が続く場合は、暖かい日の午前中に水やりを行ってください。
鉢植えの場合、根が細く極端な乾燥に弱いため、夏は涼しい朝と夕方の2回、葉水を兼ねて与えますが、 逆に冬は休眠していますので、土が乾いたら水を与える程度にしてください。
水の与えすぎには注意してください。
画像出典:園芸ネット通販:西洋シャクナゲ
花 名:ネリアーブレッド
植え付け
西洋シャクナゲは、3月~4月と10月~11月が植え付けの適期ですが、春に植え替える場合は、なるべく芽が伸び始める前に行いましょう。
鉢植えの場合、水やりをしてもなかなか水が抜けない場合は、根詰まりを起こしていますので、2年ごとを目安に、一回り大きな鉢に植え替えます。
植え替えの際は、根鉢の用土を1/3程度くずし、鉢底石を入れて、深植えしないように植えつけます。その後、たっぷりと水を与え、1週間ほど風の当たらない日陰で管理します。
鉢植えの場合は、鉢の大きさを徐々に大きくしていくのがポイントです。いきなり大きな鉢に植えないこと。
発生しやすい病害虫
西洋シャクナゲは、栽培環境が良いと病害虫の心配は、ほとんどありませんが、春頃に、『アブラムシ』や『グンバイムシ』『ハダニ』が発生しやすいので、予防のため3~10月ごろまで消毒します。また、秋頃に『ベニモンアオリンガ』が発生することがありますので、8~10月に消毒します。
西洋シャクナゲの花言葉
画像出典:山下育子のダイアリ
花 名:ヴァン・ネス・センセーション
花言葉=『風格』『威厳』『荘厳』
シャクナゲ全体の花言葉として『風格』『威厳』『荘厳』などとなっていますが、この花言葉に相応しく、シャクナゲは花木の王と呼ばれています。これは、花木の女王と呼ばれるバラと同様、園芸品種としての歴史が長く、多くの品種をもつことをあらわしているようです。
日本では、主に高山地帯を中心に『ホンシャクナゲ』『ツクシシャクナゲ』などが自生しますが、園芸用としては丈夫で比較的育てやすい『西洋シャクナゲ』が増えています。
西洋シャクナゲの育て方と花言葉
【半日陰に植える常緑低木のガーデニング】のまとめ
シャクナゲの原種は高山に自生するため、日本の夏の暑さには弱いと思われがちですが、現在、出回っているシャクナゲは、耐暑性の強い園芸品種や、日本で改良された園芸品種など、栽培が容易なものがほとんどのようです。
西洋シャクナゲの日本原産のシャクナゲと違うところは、花が大きく、花色もカラフルで数多くの品種があるということです。特に、花が枝の頂点に咲く品種が美しく、満開の時期は見事です。
※栽培方法、植物の生態については、環境により異なります。また、個人的な見解・解釈もありますので、栽培方法や生態については事前によく調べる必要があります。
※花言葉や花名の由来はさまざまに表現され、紹介されています。また、個人的な解釈もありますので、他で紹介する花言葉の由来や意味と異なる場合もあります。
参考=株式会社ナツメ社:想いを贈る 花言葉