主な病害虫の種類と駆除・対処法
美しく咲かせた庭の草花は美しいものです。しかし、草花や植木を放っておくと、思わぬ害虫や病気に荒らされることがあります。被害に気づいたらすぐに手入れをしましょう。また日ごろから、通風や採光をよくし、水分や肥料の与えすぎを避けるなど栽培環境に気を配ることも大切です。
病害虫に気がついたら!
植物に与える病気や害虫は多種多様です。毛虫などわかりやすい害虫は、適切な処置もしやすいですが、根につく害虫や、病気などはなかなか分かりにくいものです。
葉がちじれたり、斑点ができるなど、植物の異常に気づいたときや、なかなか駆除できない害虫など、自分の手におえないときは、専門家に相談するとよいでしょう。
参考=https://www.sc-engei.co.jp/guide/
アブラムシ対策
新芽やつぼみ、葉の表裏などに群生する1~3㎜ぐらいの害虫です。色は茶・緑・黒・赤などいろいろな種類があります。中には比較的動きが鈍く、蟻によって行動や繁殖を助けてもらっているものや、糞により葉の表がススをまいたようになるものもあります。
- 被 害=植物の汁を吸うので、葉の色が悪くなったり、枝やつぼみがしおれたり、ひどいときには枯れることもあります。
- 発生期=植物の生育期の春~秋までですが、真夏の最も暑いころは減少します。
- 駆除方法と使用する薬剤=マラソン・スミチオン・レルダンなどの乳剤やオルトランCなどのスプレーなどを散布します。しかし1度薬剤を受けても生き残ったものは、抵抗力がつくので、2~3種類の薬剤を用意して、散布ごとに違うものを使用するとよいでしょう。また、浸透移行性の殺虫剤オルトラン粒剤・アンチオ粒剤を根元に与えると植物自体が殺虫効果を持つため、3週間~1ケ月ぐらいの間予防効果があります。アブラムシはカイガラムシと同じように蟻によって移動や繁殖を助けてもらっているものが多いので、蟻を駆除することも大切です。蟻専用の殺虫剤にはアリアトールなどがあります。また蟻の通り道になっている幹の部分に、トリモチなどを環状に塗っても効果があります。
毛虫・青虫 対策
蝶や蛾の幼虫で、アメリカシロヒトリ・ヨトウムシ・イラガなど多種多様です。夜行性のものが多く、昼は葉裏などにじっとしていて、夜になると活動します。また蜘蛛のような糸で巣を作り、その中で群生するものもあります。
- 被 害=葉や新芽を食害します。ひどいときには木がまる坊主になり、枯れてしまうこともあります。また地面に泡粒ぐらいの黒い糞が散乱します。
- 発生期=植物の生育期の4月~10月ですが、種類によって発生期や回数は異なります。
- 駆除方法と使用する薬剤=スミチオン・レルダン・ティップレックス・マラソンなどの乳剤、オルトランCなどのスプレーを散布します。マラソンは成長した大きいものには、あまり効果がないので、ふ化したばかりの小さな幼虫にしようします。毛虫や青虫は明るい間、葉裏など目につきにくいところに潜んでいる場合が多いので、散布するときは、丁寧に隅々まで薬剤がかかるようにします。巣を作っている場合は、その枝を切り取って焼き捨てるとよいでしょう。
カイガラ虫対策
幹や枝、葉の表裏に2~10㎜ぐらいのイボ状の固まりが多数つき普通は動きません。カイガラ状の硬いものが多いですが、綿状のものもあり多種多様です。色は白、黄、黄肌色などで、蟻が共生しているものや、糞がススをまいたようになるものがあります。
- 被 害=植物の汁を吸うので枝に群生されると、そこから先がしおれたり、ひどいときには枯れたりします。またモザイク病や萎縮病などの病原菌を媒介することもあります。
- 発生期=1年中います。繁殖期は通常5~8月です。
- 駆除方法と使用する薬剤=カイガラ虫は成虫になると、体がロウ質で覆われ、薬剤がはじかれるので、マラソン・スミチオンなどの殺虫剤では駆除することができません。最もよい駆除方法は、植物が被害を受けにくい厳寒期の12~2月までに石灰硫黄合剤かマシン油乳剤の濃い液をカイガラ虫によくかかるように、散布するか刷毛で塗るとよいでしょう。この時期に駆除できなかったものは、卵からかえったばかりの幼虫(ふ化の回数や時期は種類によってまちまちですが、だいたい5~8月)の間に、エアータック・ボルン・オルトラン水和剤などを散布するとよいでしょう。また春から1ヶ月ごとに浸透移行性の殺虫剤、オルトラン粒剤・アンチオ粒剤などを根元に与えるのも効果があります。
厳寒期に使用する薬剤濃度
- マシン油乳剤=落葉樹20倍/常緑樹40倍
- 石灰硫黄合剤=落葉樹5~10倍/常緑樹20~40倍
うどんこ病
カビによって起こる病気で、植物によりカビの種類は違います。葉や茎に白い粉をまいたようになり、また白い斑点が多数できることもあります。
- 被 害=普通は葉や新芽、茎などが白い粉のようなカビによって覆われたり、斑点ができるだけですが、植物によっては葉がよじれたり、カラカラになって枯れたりすることがあります。
- 発生期=5~6月・9~10月に多く、雨の降り続いた後に発病します。
- 駆除方法と使用する薬剤=長雨の後に発病することが多く、その後に晴天が続くと症状が消えることがありますが、雨の後にまた現れます。その際には、ベンレート・モレスタンなどの水和剤を10日ごとに2~3回散布するとよいでしょう。また12~3月に石灰硫黄合剤を散布するのも効果的です。
農薬を使うときの注意
- 濃度を正確に
乳剤や水和剤は、水で薄めて500倍とか、100倍にしてしようするものが多いようですが、この濃度を間違えないようにしましょう。薄めるときは、メスカップやバケツなど、噴霧器とは別の容器で作りましょう。これは薬剤によって一時的に沈殿するものや、水と混ざりにくいものがあり、噴霧器を詰まらせることがあるからです。
※乳剤・水和剤などには、展着剤を加えてください。 - 農薬を混ぜるときは
家庭園芸用に市販されている農薬は、ほとんど混ぜ合わせて使うことができます。しかし殺虫剤どうしや、殺菌剤どうしを混ぜ合わせても意味がなく、殺虫剤と殺菌剤を混ぜて使用すると効果があります。また、石灰硫黄合剤やマシン油乳剤は、混合使用できません。殺虫剤と殺菌剤を混ぜ合わせるときに注意しなければならないのは濃度です。指定された濃度が1000倍のときは1000ccの水に薬剤を1cc加えてください。 - 風の強い日は散布をひかえる
乳剤にしても粉剤にしても、散布するときは、風の強い時・雨の降りそうな時・日が照って気温の高い時は、ひかえましょう。また液材は朝霧のある間、液材が薄まるのでやめたほうがよいでしょう。 - 散布するときの注意点
散布するとき犬や猫が近づかないようしてください。農薬の動物に対する毒性は魚で実験されています。毒性の程度はA~Dの4段階に分けられ、ラベルに明記されています。毒性の強さはAが最も弱く、市販されているものは、ほとんどAかBです。
散布後は洗顔やうがい、肌の露出部分は十分に洗いましょう。
ガーデニング害虫対策と駆除方法のまとめ
植物は害虫に侵されたら、逃げることも追い払うこともできません。ただじっと人間の助けを待つしかないのです。こまめに植物の状態を見ることが大事です。異常に気付いたら適切に対処してあげてください。お礼にきっと綺麗な花を咲かせることでしょう。