球根の花14種と育て方のポイントを紹介!
球根類は見栄えのする立派な花が多いうえに、発芽率が高く育てやすいのが魅力です。
土でも水でも手軽に栽培できる、それが球根の魅力です。
毎年、春と秋に植え込めば美しい花を咲かせることができます。花の開花時期や、栽培方法など少しの基礎知識とチョットしたお手入れで、だれでも簡単に育てることができます。
すくすく育つ花姿はガーデニングの楽しさを実感し、豊かな心を与えてくれるでしょう。
当サイトが球根栽培の参考になれば幸いです。
美しい花を咲かせる球根14選!
球根と一言でいっても、春に植えるものと、秋植に植えるものがあり、育て方も様々です。それだけに いろいろ取り合わせて植えると、次々に花が咲き長期間楽しめます。
開花時期、植え込み深さを考慮する重ね植えなど、咲いた状態を想像して球根栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。
ダリア
ダリアは夏~秋の園芸花の代表!
ダリアは、花の形や色、大きさのバリエーションが豊富で、その多彩ぶりは、他の花を圧倒しています。開花期が長く、比較的育てやすいので、夏~秋のガーデニング草花としておすすめです。
※ダリアは地中に根が肥大した球根があり、春植え球根として扱われますが、一年草のようにタネから育てられるミニタイプの品種も多数育成されています。
ダリアの楽しみ方と管理
【開花期:6月~11月】
ダリアは豪華で力強く咲く大輪種から、優雅な中輪種や可憐な小輪種、シンプルな一重咲きや変化咲きなど品種が非常に多く、古くから親しまれてきた春植え球根です。
栽培も比較的容易で開花期も長く、特に花色が鮮明で花数の多くなる秋には、花壇の主役になります。
ダリアの育て方ポイント
- 生育中は、できるだけ半日以上は日の当たるところで育てます。ただし、最近の日本の夏は、高温となるため、強い西日は、日よけなどして出来るだけ高温にならないよう配慮をしてください。特に鉢植えのものは、夏の高温を避けるために、日陰へ移動させるのが安全です。
- タネから育てるときは、春に直まきにして、日当たりのよいところで管理します。
- 花がらは、そのつど摘み取ります。
- 初夏の花が一段落したら切り戻しをして新しい芽を伸ばすようにすると、秋には数多くの花が美しく咲くようになります。(秋花を楽しむには、7月中旬~8月中旬に茎を短く切り戻し、わき芽を発生させます。)
- 冬期は球根が凍らないよう、盛り土やマルチングをしておくか、掘り上げて、おがくずやピートモスなどに埋めて乾燥貯蔵します。
- 開花中も肥料切れしないように追肥します。
カラー
色とりどりの仏炎苞が美しい!
カラーは立ち姿が美しく、シンプルで清楚な花を咲かせ、フラワーアレンジやブーケなどに利用の多い花です。
カラーの仲間は、南アフリカに6~8種類程度の原種があり、川や池などの水湿地を好む湿地性の品種と、水はけのよい草地や岩場などを好む、畑地性の品種があります。
カラーの楽しみ方と管理
【開花期:6月~7月】
5月~7月に鉢花が出回ります。
購入の際は、花色が鮮明で、葉色が濃く、しっかり締まった株を選びます。
鉢花を購入したら、日当たりのよい ところに置いて管理します。
湿地性の品種は、底面吸水鉢に植えつけると管理が楽です。
カラーの育て方ポイント
【湿地性種の場合】
- 日当たりと風通しのよい開けたところが適します。
- 大きく育つので、ある程度のスペースは確保しておく必要があります。
- 池や小川などの水辺はもちろん、湿り気のあるところであれば、通常の花壇や畑地でも育てられます。
- 半日陰や乾燥しやすいところでは花つきが悪くなります。
- ほぼ1年を通じて葉が茂り、春と秋は特に盛んに成長します。
- はっきりした休眠期はありませんが、高温や低温時期には生育が止まり、休眠状態になることもあります。
- 地中の球根が凍結しないよう注意します。
【畑地性種の場合】
- 日当たりと水はけがよく、温暖で夏は比較的乾燥する場所が適します。
- 春の生育期はやや多湿でもよいのですが、開花後高温期の多湿は病気が出やすくなり、球根が腐る原因となります。
- 鉢植えは、夏の間は明るい日陰や半日陰へ移動させ、鉢内が高温にならないようにしておきます。
- 秋以降休眠したら乾燥させて、凍らないところで冬越しさせます。
- 庭植えでは植えっぱなしにもできますが、地中まで凍結する心配のあるときは秋に掘り上げ、鉢に入れて乾燥貯蔵しておきます。
ユリ
端正な花形をもつユリは花色も豊富で、清純、華麗、豪華など様々な与え、多くの人に親しまれています。切り花はもちろん鉢植えにしても観賞価値の高い花として人気があります。
基本的に秋に球根を植え付けると初夏~夏に花を咲かせます。
野生種は美しさの中にも風情があります。また、園芸品種は野生種にはない花色やゴージャスさ、かわいらしさがあり、楽しみ方の多い植物です。
ユリの楽しみ方と管理
【開花期:5月~8月】
ユリを花形で分類すると以下の4つに大別されます。
- テッポウユリ系(ラッパ形)
- ヤマユリ系(ロート形)
- スカシユリ系(茶碗形で花弁と花弁の間が透けている)
- カノコユリ系(花弁が反転して球形になる)
現在流通しているものの多くは、スカシユリ系の「アジアテック・ハイブリッド」、カノコユリ系の「オリエンタ・ルハイブリッド」と呼ばれるもので、それぞれに多数の園芸品種があり、最近ますます多彩になってきています。
ユリの育て方ポイント
- 一般に、テッポウユリ系やスカシユリ系は、日当たりを好み、ヤマユリ系やカノコユリ系は、明るい半日陰を好みます。
- 球根が埋まっている地中の温度が高くなるのを嫌うため、梅雨明け以降は、地面に強い直射日光が当たらない場所や建物の東側など、できるだけ涼しい環境で育ててください。
- 水はけのよい土壌を好むので、排水の悪い庭では盛り土をしてレイズドベッドをつくるとよいでしょう。
- 鉢植えであれば、梅雨と春秋の長雨に当てないよう、鉢を軒下などへ移動させましょう。
アマリリス
豪華な花が楽しめる!
アマリリスは初夏の頃、鮮やかな色の花を、立ち上がる太い茎に咲かせます。1株でもインパクトがあり、鉢植えや花壇、あるいは切り花として利用されています。
球根が多く出回るのは2月~3月で、鉢植えで育てれば1か月半~2か月後に花が咲きます。
最も多く出回っているのが、オランダで作りだされた大輪花のルドウィッヒ系で、ポットに植えられて市販されています。
アマリリスの楽しみ方と管理
【開花期:5月~7月】
ポットに入ったものは、球根を取り出して見ることは出来ませんが、球根を選ぶときは、病斑がなく、丸くて艶のあるものを選びます。
開花株を選ぶときは、花ばかりでなく、葉もよく伸びているものを選びます。
初夏咲き以外にも、春咲き、真夏咲き、秋咲きの品種もあります。中輪で剣弁の花弁をもつ在来種は寒さに比較的強いのですが、巨大輪で丸弁の花弁をもつ外来種は寒さにやや弱いので、冬は防寒をするか、掘り上げると安心です。
【おすすめの品種:ガーデンアマリリス】
アマリリスは、比較的耐寒性があり鉢植えを軒下に置いておくと冬を越しますが、庭植えにすると霜に当って傷んでしまいます。その点、ガーデンアマリリスは、特に耐寒性が強く庭植えにして花が楽しめる品種群で、「サカタのタネ」から‘ガーデンオーケストラ’として売り出され、その後、他の種苗会社のカタログにも耐寒性のアマリリスとして載っています。
アマリリスの育て方ポイント
- 日当たりと風通しのよい場所で育てます。
鉢植えであれば、真夏は午後の日ざしが直接当たらない半日陰で、梅雨の時期や秋の長雨の時期には雨の当たらない軒下などへ移します。 - 冬は凍らない乾燥した場所に鉢ごと置いておきます。庭植えであれば、盛り土やマルチングをして防寒します。
- 鉢土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。秋に葉が枯れ始めたら、徐々に水やりを控えめにし、冬は完全に乾かします。
- 用土には、あらかじめ元肥として三要素等量の緩効性化成肥料を混ぜておきます。花後に、カリ分が多めの液体肥料か固形肥料を追肥します。
- 鉢植えの場合、水はけがよく、通気性に富み、適度な保水性のある土が適しています。市販の草花用培養土を用いるとよいでしょう。
チューリップ
秋植え春咲き球根の代表格!
チューリップは育てやすく種類もたくさんあるので昔から人気の高い植物の一つです。
日本では、秋に球根を植え付けて春に花を楽しむのが一般的です。
鉢やコンテナ、水栽培に花壇、切り花と用途が広くて色々と楽しめます。 一斉にたくさんの株が花開いたチューリップ畑や花壇は見事なものです。
チューリップの楽しみ方と管理
【開花期:3月~5月】
球根を購入する際は、堅く締まった大きな球根で、黒っぽい斑点などがない肌のきれいなもの、発根部が変色していないものを選びましょう。(根が出ている球根を選ばないように!)
球根を秋に植えつけると1月頃まで芽が出てきませんが、この間に根は伸びています。1月ごろから芽が出て葉が展開し、やがて花茎が伸びて4月頃に開花します。
チューリップの育て方ポイント
- 土を乾かし過ぎないように水やりをおこないます。乾燥に弱いので冬でも土が乾いていたらたっぷりと水を与えるようにしましょう。
- 肥料は植え付ける際にあらかじめ土にゆっくりと効くタイプの肥料を混ぜ込んでおいて、芽が出てきたら液体肥料を10日に1回くらい与えるようにします。
- 花弁が散る少し前に、花首のところ(子房)で切り取ります。子房を そのまま付けておくとタネができ、余分な栄養がとられてしまいます。葉と花茎は球根に栄養を貯えるためにとても大切な部分なので自然に枯れてくるまで決して切り落とさないように気をつけましょう。
【球根の植え付け】
植え付けは冬の寒さが本格的にくる前、10月~11月上旬が適しています。あまり遅いと充分に根が張れず生育に支障が出ます。
浅く植えすぎると根が下に伸びていく力で球根が持ち上がり、地上にでてしまうことがあるので注意しましょう。
庭植えは球根2つ分、鉢植えは球根の頭が地面から2cmくらいの深さに来るように植えます。
アネモネ
春らしい雰囲気の球根花!
ヨーロッパ南部の原生地では、比較的雨の多い冬に生育し、初夏に地上部が枯れると球根(塊根)になって、暑く乾燥する夏を越します。日本でも、涼しくなる秋に芽を出し、春に咲いて夏前に地上部を枯らし、塊根をつくって休眠します。
水はけと日当たりのよい場所に植えつけ、多肥にしないように管理すれば、何年も植えっぱなしで花が咲きます。
アネモネの楽しみ方と管理
【開花期:2月~5月】
園芸上、アネモネと呼ばれているのは地中海原産の野生種アネモネ・コロナリアや雑種アネモネ・フルゲンスなどからつくられた園芸品種で、秋に球根を植えて春に楽しむ秋植え球根として扱うのが一般的です。鉢植え、庭植えどちらでも楽しめます。
アネモネの育て方ポイント
【栽培場所】
- 花付きの株を真冬に手に入れた場合は、凍らない場所に置きましょう。
- 球根を植えた鉢は、芽が出てから地上部が枯れる初夏までの間、風通しのよい戸外の日なたに置きます。
- 地上部が枯れたら雨のかからない日陰に置き、10月になったら再び日なたへ移動させます。地上部が枯れたときに、球根を掘り上げて保存してもかまいません。
- 庭植えにする場合は、水はけと風通しのよい日なたを選んで球根を植えつけます。
【水やり】
- 鉢植えでは、軽く湿らせた用土に球根を植えつけるので、植えつけ直後は水を与えずに、4~5日たってから水やりします。その後は、初夏に地上部が枯れるまで、用土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。
- 地上部が枯れたら水やりを中止し、雨のかからない日陰に置いて鉢土を完全に乾かします。10月になったら、再び水やりを開始しましょう。
- 雨水がかかる庭植えでは、水やりは不要です。
【用土・肥料】
- 水はけのよい中性から弱アルカリ性の土を好みます。
酸性の土壌を嫌うので庭植えにする場合は植え付ける2週間くらい前に石灰を混ぜ込んで酸性を中和しておくといいでしょう。 - 鉢植えでは、肥料が少ないと花がたくさん咲きません。10月から3月の間は2週に1回ほど、薄めの液体肥料を施します。ただし、晩春まで肥料を与え続けると、球根が充実しないので注意しましょう。
- 庭植えでは、植えつけ時に施す元肥のみで十分です。
オキザリス
冬~春まで楽しめるお洒落な花!
一般に「オキザリス」と呼んでいるのは、南アメリカや南アフリカ原産の球根植物です。
種類が豊富で、開花期も長いので長期間楽しめます。丈夫で育てやすく、寒さにも比較的強いので、霜に当たらなければ地植えでも冬越しします。
冬の窓辺を彩るオキザリスは、『黄色い小花をたくさんつけるロバータ』『つぼみに入る螺旋状の紅線が愛らしいバーシカラー』『花が大きくて美しいプルプレア』『整った草姿ボーウィー』などの品種があります。
オキザリスの楽しみ方と管理
【開花期:四季咲きタイプ、夏期は休眠して秋から冬に開花するタイプ、冬期に休眠して春から夏に咲くタイプに分けられます。】
オキザリスはカタバミの仲間で800~850種があり、世界に広く分布しています。
ロゼット状のものから低木状のもの、地中に球根をもつもの、多肉植物に近いものなど、形状はさまざまです。
園芸上は地中に球根を作る種が主に栽培されており、球根植物として扱われることが多く、特に南アフリカ原産種が多いです。
栽培上は「春植え」と「夏・秋植え」に分けることもあります。
オキザリスの育て方ポイント
【置き場所】
多くの種類は、光に反応して開花します。晴天で太陽が照っている間だけ花が咲き、曇りの日や雨の日は閉じているので、鉢花を購入したら、何よりも日当たりの良い戸外に置きます。半耐寒性種は霜が降りる前に室内に取り込みますが、暖房の効いた部屋を避け、日当たりの良い窓辺に置きます。
【水やり・肥料】
鉢土の表面が乾いたら、たっぷり水を与えますが、過湿を嫌うので、いつもじめじめした状態は避け、乾かしぎみに管理します。
花が終わったら花首の下で切り取り、葉が枯れて休眠したら水やりを中止して、鉢ごと乾燥させます。
生育期に、葉の色が冴えなかったり、株に勢いがないときは、緩効性の化成肥料を置き肥します。花後にも1~2回液肥を施します。
クロッカス
手軽に楽しめる小球根!
春を待ちかねたように真っ先に咲く小球根の代表的な植物です。春咲き・秋咲き・冬咲き種などがありますが、一般的に流通しているのは、主に春咲き種です。
クロッカスの楽しみ方と管理
【開花期:2月中旬~4月初旬】
日当たりと水はけがよいことが大切です。
地上部のない時期は日陰でもかまいませんが、芽出しから開花後、葉が出ている間は、庭植え、鉢植えともに半日以上は日光の当たるところを選びます。
日当たりが悪いと球根が太らず、翌年以降は花が咲きにくくなります。
球根は、硬めで外皮が破れていないものを選んでください。一般的に鉢植えにして鑑賞されますが、芝生に植え付けるとアクセントとしてよく映えます。
クロッカスの育て方ポイント
- 球根は秋に植え付けますが、12月いっぱいまでは戸外で管理し、寒さに当てるようにしてください。
- 9月下旬~10月に、水はけのよい砂質壌土か赤玉土の配合土に植え付けます。
基本的に球根2個分の間隔と深さに植えつけますが、マッス植え(群植)にする場合、間隔をあけずに浅く植えることもあります。ただし、マッス植えにすると球根の太りは悪くなります。 - 秋から春まで、生育中は極端に乾かさないよう水やりには注意してください。
- 肥料は、発芽したら液肥を月2回程度施してください。
- 花後は花茎ごと抜き取り、固形肥料を置き肥し、球根を充実させてください。
葉が黄色に変わったら堀り上げ、日陰で乾燥させて古い葉や根をはずしてから涼しい場所で秋まで保管してください。
サフラン
秋に咲く高価なスパイス!
花の真ん中当たりに、赤い糸くずのような雌しべがあります。これを乾燥させたものが、高価なスパイスとして有名な「サフラン」です。
サフランは、秋咲きのクロッカスの一種で、もともとは染料、香料、薬用として多く栽培されていましたが、今は観賞用としても利用されています。
秋に松葉の様な細長い葉を出しつつ、同時に紫色の花を咲かせます。花が咲いた後も葉は長く伸び、翌春の5月頃に枯れて休眠します。
サフランの楽しみ方と管理
【開花期:10月~11月】
球根は7月頃から流通しますが、大きくて重いものを選びましょう。
8月に植えつけると、マツの枝のような葉が出て、10月中旬から12月上旬には1球から2~3本の花茎が伸びて開花、その後葉がさらに長く伸びます。
球根を入手したときにはすでに花芽ができており、あとは花茎が伸びて開花するのを待つだけです。
今年限りの花として楽しむのであれば、球根を土に植えずに、皿や器に転がして、半日陰に置いておくだけで花を見ることができます。
サフランの育て方ポイント
- 日当たりのよい場所を好み、日照不足になると花付きが悪くなります。
- 寒さには非常に強いので特に防寒をする必要はありません。逆に高温多湿に弱いので、できれば春以降は掘り上げて涼しい場所で貯蔵します。
- 酸性土壌を嫌うので、植えつけ前に苦土石灰を混ぜておきます。
- 庭植えで水はけが悪い場所の場合は、腐葉土などの有機物とパーライトや川砂などをすき込んでおきます。高温多雨の地域では、植えっぱなしの夏越しが難しいので、鉢植えのほうが育てやすいです。
- 鉢植えの場合、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるのが基本です。冬~春にかけては水やりを控えてやや乾かし気味に管理します。
- 花後に新しい球根を太らせるためにも肥料は不可欠です。花後と2月頃の2回、化成肥料を適量株元にばらまきます。
【植えつけ】
8月下旬~9月上旬に球根を植えつけます。植え遅れても花は咲きますが、貧弱な花になるので、適期に植えつけましょう。
鉢植えの場合は5号鉢に5~6球とし、球根1~2個分くらいの深さに植えつけます。
庭植えの場合は10cm程度の間隔とし、球根2~3個分くらいの深さに植えつけます。
スイセン
寒中に咲く気高い花姿!
春を告げる草花として古くから親しまれています。園芸では秋に球根を植え付けて、春に花を楽しむ「秋植え球根植物」として扱われます。
栽培の歴史が古く、膨大な数の園芸品種がありますが、2つのグループに大別されます。
一つは早咲きで房咲きとなる「日本ズイセン」、もう一つは3月~4月に咲く「ラッパズイセン」「大杯ズイセン」「小杯ズイセン」「口紅ズイセン」などです。また、近年は「キクラミネウス」「バルボコディウム」といった原種のスイセンもよく栽培されるようになりました。
スイセンの楽しみ方と管理
【開花期:12月~4月】
スイセンの鉢花を購入する場合、葉が伸び過ぎて垂れ下がっているものは避け、葉が締まって蕾が伸び出しているものを選びます。
スイセンの球根を秋に選ぶときは、形が扁平で小さな球根は花が咲かないことがあるので、大きくて丸く充実した重たい球根を選びます。芽の出る上部を押してみて柔らかいものや、カビが生えていたり傷があるものは避けます。
スイセンの球根を鉢植えするときは、根が深くまで伸びるので、深鉢が適します。
スイセンの育て方ポイント
- スイセンの球根を植え付けた後は、なるべくよく日の当たる場所に置きます。寒さに強いので、冬でも戸外に置いてかまいません。
- 粘土質の土壌よりも砂質土壌を好むので、水はけが悪い場合は、パーライトや軽石などを加えて土壌改良します。
- 鉢植えの場合、水はけがよく通気性に富み、適度な保水性のある土が適しています。市販の草花用培養土6、腐葉土3、牛ふん堆肥1の割合で配合するとよいでしょう。
- スイセンに与える肥料は、用土にはあらかじめ緩効性化成肥料を元肥として混ぜておき、その後は芽が出たら、リン酸分の多い液体肥料を施します。
- 地上に芽が出ていなくても、土中では根がよく伸びているので、土が乾いたら水を与えてください。冬の水やりは、忘れがちになるので注意してください。
【花後のお手入れ】
スイセンは花が終わったら花茎のつけ根から切り取ります。葉はだらしなく伸びていますが、完全に枯れるまで切ってはいけません。
花の終わった後に、葉っぱから光合成をおこない、その栄養を球根に貯蔵するので、葉っぱを切ってしまうと球根に栄養がたくわえられず、翌年の開花は期待できなくなります。
スノードロップ
真冬に咲く雫のような可憐な花!
マツユキソウの和名があり、雪解けの頃、純白の花を下向きに咲かせて春を告げます。
6枚ある花弁のうち、花の外側の3枚の花弁は細長く、内側の3枚はその半分の長さで、緑色の斑が入ります。
花は日が当たると開き、夕方には閉じます。
スノードロップの楽しみ方と管理
【開花期:2月~3月】
秋に球根を植え付けると、冬に芽を出して(根は秋から地中で生長を始めます)、2月~3月に開花し、6月頃に茎葉が枯れて休眠します。
夏も土壌が乾きすぎない落葉樹の下や、ロックガーデンなどでの栽培が向いています。
スノードロップの育て方ポイント
- 球根植物の中でも特に手の掛からない部類に入りますが、休眠期に球根を乾燥させないようにしましょう。
- 土の表面がよく乾いたら、たっぷりと水を与えます。花後は徐々に水を減らしますが、球根が消耗しすぎないよう、夏もときどき水やりをして適湿を保ちます。
- 用土は、水はけと通気性に富み、適度な保水性のある土が適しています。
鉢植えの場合は、赤玉土7:腐葉土3の割合で混ぜた土を使います。
庭植えにする場合は、あらかじめ腐葉土をすき込んでおき元肥として化成肥料や粒状肥料を混ぜ込んでおきます。 - 元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜます。花後にはカリ分の多い液体肥料、もしくは緩効性化成肥料を施します。
- 秋に球根を植えつけます。鉢植えの場合は5号鉢に6~7球程度、庭植えの場合は5cm間隔で植えつけます。
夏も球根を乾かさないほうがよいので、植えたままで夏越しさせます。
ヒヤシンス
室内の窓辺で鑑賞しても楽しい!
日本でも広くなじみのある秋植え春咲き球根です。水栽培でよく知られる他、鉢植えや花壇にも利用されます。また、よい香りを漂わせ、春を告げる花として親しまれています。
花色は赤、桃、黄、紫、青、白と豊富です。
ヒヤシンスの楽しみ方と管理
【開花期:3月~4月】
市販されている球根は、すべて花芽をもつ開花可能球ですので安心できるといえますが、念のため、底部や上部が凹んでいるものや、傷がついているものは避けたほうがいいでしょう。
固く締まって、できるだけ大きな球根を買い求めてください。
ヒヤシンスの育て方ポイント
- 10月に5号鉢に2~3球、標準サイズのプランター植えなら5球を目安に、川砂、赤玉土、腐葉土を等量混ぜた用土に元肥を少量施して植え付けます。
- 日当たりのよい戸外に置いて、冬の寒さに十分当てます。
- 水やりは、鉢土の表面が乾いたら たっぷり与えます。
- 水栽培には、できるだけ大きな球根を用い、11月頃に暖房のない暗いところに置いて発根させます。発根したら根に空気がいくように球根と水の間をあけ、日当たりの良いところで管理します。
- 花が終わったら、葉が黄色になる6月に掘り上げます。
ムスカリ
群植すると見ごたえあり!
秋に球根を植えると春に花を咲かせ、花後に葉が枯れて球根の状態で夏を越します。
丈夫で育てやすい秋植え球根で、丸い壺形の小花が、ブドウの房のように密集して咲く様子も愛嬌があります。
花壇の縁取りやマッス植えなど、ある程度数をまとめて群生させると、さらにそのよさが発揮されます。
ムスカリの楽しみ方と管理
【開花期:3月~5月】
ムスカリは鮮やかな青紫色の花が春の花壇を彩り、チューリップなど ほかの花を引き立てる名わき役といってもよい花です。
植えっぱなしでも毎年よく咲き、グラウンドカバーとしても利用しやすく、青いカーペットを敷いたような景観がつくれます。
日当たりと水はけのよいところであれば、あまり場所を選びません。芝生などの中に植え込むことも可能です。
夏の休眠中は日陰になってもよいので、落葉樹の下の植え込みにも適します。
ムスカリの育て方ポイント
- 【水やり】=庭植えではほとんど必要ありません。鉢植えは用土が乾いたらたっぷり与えます。乾燥にも強く、常に湿っている必要はありませんが、蕾が出てから開花までは、水切れしないよう十分に与えます。6月~9月は水やりの必要はありません。
- 【肥料】=庭植えでは、よほどのやせ地でないかぎり必要ありません。ただし、開花後に追肥を施しておくと球根がより大きく太り、芽数もふえます。鉢植えは、晩秋と開花後に緩効性化成肥料の置き肥を施しておくとよいでしょう。
- 【植えつけ】=数年間据え置く場合は、球根2個分ぐらいの間隔で植えつけます。
群落状やカーペットのように咲かせるには、間隔をあけずに密に植えつけます。
10月頃が適期ですが、11月~12月中旬も可能で、遅く植えるほど葉が長く伸びずにコンパクトに咲きます。
ラナンキュラス
目の覚めるような花が魅力的!
ラナンキュラスは幾重にも重なった、明るい花弁が魅力的な秋植え球根です。近年、切り花用品種を中心に改良が急激に進み、花色だけでなく花形も変化に富んだ品種、香りのよい品種が登場しています。
ラナンキュラスの楽しみ方と管理
【開花期:3月~5月】
日当たりのよい場所で育てます。寒冷地での育苗や冬に花つき鉢植えを入手した場合、室内の日当たりのよい窓際に置きます。
凍結や霜に合わなければ戸外でも越冬できますが、1月~2月は防寒するか、ベランダなど風の当たらない場所に置きましょう。
寒風や乾燥にさらすと葉が傷み、凍結にあうと株がダメになります。ただし、冬に暖かい場所(15℃以上)に置くと間延びするので、ある程度寒い場所で育てた方がよいです。
ラナンキュラスの育て方ポイント
- 【水やり】=球根は軽く湿らせた土に植えつけ、4~5日後からは、用土の表面が乾いたらたっぷり与えます。開花中も同様に水を与えてください。
5月下旬に葉が黄色く変色してきたら乾かし気味に管理し、すべての葉が黄色になったら水やりを止めて完全に乾かします。 - 【肥料】=鉢植え、庭植えともに、元肥として緩効性化成肥料を施します。追肥にも緩効性化成肥料を施します。冬期から咲いている場合は、液体肥料も定期的に併用して肥料切れをさせないようにしましょう。
- 【用土】=水はけがよく、やや水もちの良い用土が適しています。赤玉土5(中粒と小粒を半々):腐葉土3:バーミキュライト2などの配合がいいでしょう。もしくは、草花用の培養土でもかまいません。
【球根の植え付けについて】
球根の植え付けは10月が適期です。
市販の球根はカサカサに乾いており、そのまま植え付けると急激に水を吸って腐ります。このため、軽く湿らせたバーミキュライトに球根を埋め、冷蔵庫で1週間ほど吸水させてから植えつける必要があります。
球根を、ゆっくり吸水させて「もどす」ことが、ラナンキュラスを育てる上で最初のポイントとなります。
苗を入手した場合は、根鉢をくずさずに植えつけましょう。
葉がすべて枯れたら掘り上げて陰干しし、秋の植えつけまで日陰で乾燥保存します。
ガーデニングが楽しくなる球根の花14選のまとめ
植物には、様々な特徴から いろいろなグループに分類されますが、花や葉、果実などを鑑賞する目的で栽培する場合は園芸的な分類をしています。これは、植物的な分類とは異なり、栽培上のポイントに基づいた分類で、生存期間の長さと栽培の共通性から「一年草・二年草」と「多年草(宿根草・球根類)・樹木」に大別されるほか、多肉植物、観葉植物、ラン類など用途による分類もあります。こうした分類から、植物のライフサイクルや生長のパターンを知り、計画的に草花を育てることが大事です。
栽培方法、植物の生態については、環境により異なります。また、個人的な見解・解釈もありますので、栽培方法や生態については事前によく調べる必要があります。
【記事参考】
- 成美堂出版:はじめてのコンテナガーデン
- 主婦の友社:「園芸店で買った花」をすぐ枯らさない知恵とコツ
- 株式会社西東社:これだけは知っておきたい園芸の基礎知識
- NHK出版:みんなの趣味の園芸https://www.shuminoengei.jp/