油粕の特徴と使い方【肥料の上手な施し方】

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油粕は土の改良効果も高い窒素肥料!

油粕は、ナタネやダイズなど、植物の種から油を搾った後の「かす」です。リン酸とカリも多少含んでいますが、窒素の含有量が多いのが特徴です。多く流通しているのは、「ナタネ油粕」で、有機を代表する窒素肥料として、古くから利用されています。

油粕 肥料の特徴

【油粕 肥料成分比 目安】

  • 窒 素N)=5~7
  • リン酸P)=1~2
  • カ リK)=1~2

油粕は、土壌微生物を増やし、土の団粒化を促す土づくり効果にも優れています。土の中の微生物によって分解され、ゆっくりと効果が出るので、元肥に利用します。

肥料のなかでも、特にナタネ油粕は、肥料効果が現れるのに時間がかかりますが、ダイズ油粕は、比較的早く肥料効果が現れます。


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ナタネ油粕 肥料の使い方

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商品参考画像=サカタのタネっと:マルタ一番しぼり菜種油かす

ナタネ油粕は、優れた有機質肥料ですが、作物の根が吸収できるよう分解されるのに、たいへん時間がかかります。また、その過程で有機酸やガスを出して、発芽障害や肥焼けを起こしやすいという欠点があります。そのため、ナタネ油粕を使用する場合、作付けの2~3週間前に施し、土によく混ぜ込むことが重要です。

有機栽培にこだわるなら、油粕で不足する「リン酸」と「カリ」は、「骨粉」「草木灰」で補います。特に、こだわりがないのなら「過リン酸石灰」「硫酸カリ」で補ってください。

発酵油粕の特徴

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商品参考画像:株式会社 東商

発酵油粕は、ナタネ油粕の欠点が改善された、文字通り油粕を発酵させたもので、通常の油粕と同様、窒素分を多く含む肥料です。すでに発酵が済んでいるので、油粕が土中で分解する間に出るガスの心配もなく、施用してからすぐに種まきや植えつけを行うことができます。また、油粕に米ぬかや骨粉などを配合して、成分バランスを整えた肥料なので、窒素系の有機質肥料としては、おすすめの肥料です。

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肥料の上手な施し方

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画像出典:家庭菜園で有機無農薬栽培


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元肥と追肥に分けて施す!

栽培期間中に必要とする肥料の量(全必要量)は、作物ごとに決まっています。これを一度に施すと、肥焼けによって根が傷むうえに、吸収できなかった分が無駄になり、地下水など環境中に流れ出してしまいます。そのため、肥料は元肥追肥に分けて施します。ただし、コマツナやホウレンソウなどの軟弱野菜は、栽培期間が短く、必要とする肥料の量もさほど多くないので、元肥だけで育てるのが一般的です。

元肥の施し方!

元肥は作付前に畑に施します。石灰資材の投入から一週間間をあけ、化学肥料の場合は作付の4~5日前、有機質肥料の場合は1~3週間前に施します。

肥料の施し方には、作物の下に施す『溝施肥』と、畝全体に混ぜ込む『全面施肥』があります。それぞれ向いている作物があるので、使い分けてください。

単肥の使い方!

三要素(窒素・リン酸・カリ)のうち、窒素とカリは全必要量の半分を元肥で施します。リン酸は、土の中を移動しにくく、追肥で土の表面に施しても根が張っている地中まで届かないので、元肥で全量を施します。この、基本施肥に従って単肥を組み合わせて使うと、必要な施肥が簡単に行えます。

【三要素が等量の化成肥料を使う場合】

必要なリン酸を、三要素等量の化成肥料だけで、賄おうとすると、窒素とカリが多くなりすぎるので、単肥『過リン酸石灰』を併用します。

【有機質肥料を使う場合】

肥料ごとに、含まれる成分と成分量が異なるので、計算をして、必要量を算出し単肥を組み合わせます。

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画像出典:家庭菜園で有機無農薬栽培

追肥の施し方!

作付後、1ヶ月ほどで元肥の肥料効果が切れてくるので、追肥を開始します。追肥は窒素カリを施しますが、作物の様子をみながら、1ヶ月に1回を目安に、作物に合った量の追肥を施していきます。

【化学肥料の追肥】

化学肥料を使うなら、単肥を組み合わせるか、NK化成(窒素とカリのみを含む化成肥料)を使うとよいでしょう。三要素を含む化成肥料も使えますが、その場合、追肥で施したリン酸が効くのは次作以降になります。

【有機質肥料の追肥】

追肥は、早く効果が現れる必要があるので、有機質肥料を使うなら、※ボカシ肥などの発酵済みのものや、発酵鶏ふん、魚かす、草木灰などを利用します。さらに、分解を早めるために、土とよく混ぜることが大切です。

※ボカシ肥=鶏ふんや油粕などの有機物を発酵させて、ガス害などの心配をなくし、早く効くようにした肥料。

【追肥の施す場所】

追肥の施す場所は、根が伸びる先です。地上部の外周あたりまで、根は伸びているので、それを目安に、畝の肩や株間、通路などに施します。マルチを張っているときは、マルチを剥がして畝の肩に施すか、通路に施してください。

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画像出典=畑づくり:ジッチのミニ菜園

まとめ

一口に肥料といっても、様々な種類があり、効果や働きも違います。また、肥料と同じように、作物に欠かせない資材に堆肥があります。どちらも作物を健康に育てるために、土に施すものですが、その働きは違います。

肥料『植物のための食事』として、また、堆肥『植物のためのより良い環境づくり』に役立ちます。ただし、草木や野菜はそれぞれ、『食べたい肥料』『住み着きたい環境』が異なりますので、よく調べて育てることが大事です。

※肥料の使用方法は、植物の生態や栽培環境により異なります。また、個人的な見解・解釈もありますので、事前によく調べる必要があります。

参考:隔月刊|やさい畑|2015秋号|光の家協会 発行


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コメント

  1. 阪木実 より:

    今、うちの畑のブドウに元肥をやっているところです。(新規就農者です)
    ブドウ用肥料が足りなくなったので米ぬかで代用を考えているところですが、分解が遅いのですね。ぶどうは肥効が遅いと具合悪いのだけどな・・・ さて、どうしよう。試しに2、3本だけ米ぬかにしてみようかな。
    とても参考になりました。ありがとうございました^^